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 大学生たちにとって3カ月後ろ倒しとなった今年の就職活動。どんな影響が出ているのでしょうか? 明治大学の就職キャリア支援事務室の滝晋敏さんに聞きました。

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 ――明治大学では、就活支援に力を入れているそうですね。

 「3年生を対象に『明治大学就職活動手帳』を無償配布しています。就活生専用のオリジナル手帳で、卒業する年の3月までの1・5年分のスケジュールが管理でき、エントリー管理や企業情報を記入するページ、自己分析、職種・業界研究、試験対策、マナーなどのノウハウが詰め込まれています。今年からは2年生向けに準備段階として『キャリア手帳』の配布も始めました」

 ――今年から日程が後ろ倒しになりましたが、学生の様子はどうですか?

 「昨年10月に実施した就職・進路ガイダンス以降、仕事研究セミナーなどの参加率が例年に比べて3~5割ほど少ないです。例年のようにヨーイドンでスタートしないこともあり、周りが動き出さないと動かないんだと思います」

 ――後ろ倒しになった分、短期決戦になると言われています。

 「私はそうは思いません。取り決めの時期より早く実質的な採用活動はスタートしています。業界によってピークが分散化することで学生の就活期間が長期化する可能性もあります」

 ――実質的な採用活動としてインターン制度が使われていると聞きましたが本当ですか?

 「インターンに参加するためのエントリーシートづくりなどの相談も受けました。インターンの後にいきなり最終面接というケースもあったようです。例年だとインターンは3年生の8~9月だけだったのが、今回は11月から翌年2月にも実施されました。後の方については採用に直結したものが多かったようです」

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 ――近年は、学生たちにとって有利な「売り手市場」といわれています。

 「確かに、学生が企業を選ばなければ就職先はあります。ただ学生は、求人が多くなるほど『いっぱい受けないと決まらない』と思ってしまいがちで、一つひとつの企業にかける時間が短くなってしまいます。学生には自分の足で稼いだ情報をもとに動かないと内定は取れないと話しています」

 ――昨年よりも採用は増えそうですか?

 「正直なところ、どうなるか見通せません。昨年、大手企業から内定をもらった学生のエントリーシートを見せてもらったところ、自己PRが十分に練り込まれていないものもありました。企業は、今年の後ろ倒しを見越して昨年のうちに、多めに採用していた可能性があります。また、求人が増えれば内定辞退も増えることが予想されます。それも勘案して企業が採用を増やしていたとすると、反動がくるおそれがあります」

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 ――学生が勉学に時間を割けるようにするために実施された就活時期の後ろ倒しですが、メリットは実感できているのでしょうか?

 「逆に勉学の時間が減りかねないのが実情です。スタート時期がほとんど変わらないのに、企業の選考開始の時期が4カ月も後ろ倒しされたわけですから」

 ――企業の採用担当者の反応はどうですか?

 「『今のスケジュール、よくないよね。会社も学生も大学も、誰も得しないよ』といった声をよく聞きます」

 ――この状況は今年だけのものなのでしょうか?

 「2年やったら元に戻るのではないかといわれています。今のままでは、正直者がバカを見てしまうやり方なのではないか。企業側に時期を守らせる方策をとらない限りダメだと思います」

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 ――就活が長期化した場合、内定がもらえなかった学生のフォローは?

 「明治大学では、就職先が決まっていない4年生のために、11月から3月にかけて『学内採用選考会』を実施しています。これは企業側に学校に来てもらい1次選考をしてもらう取り組みです。他にも、大学に中小企業の社長を招いて立食形式のイベントも開催しています。昨年度は学生15人が参加し、うち6人の採用が決まりました。また、他大学も含めた既卒者向けの支援活動もやっています」

(就活面接の裏側)(若松真平)