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 ヒト受精卵の遺伝子を操作したとする論文を、中国の中山大学の研究チームが発表した。狙った通りに改変できるかどうか確かめる基礎研究としているが、親が望む特徴をもつ「デザイナーベビー」を作る技術につながりかねないなどとして、早急な規制を求める声が科学界で上がっている。

 17日付の中国の科学誌「プロテイン&セル」に掲載された論文によると、チームは酵素を使って遺伝子を改変する「ゲノム編集」という技術で、狙った遺伝子だけを置き換えようとした。ところが、狙っていない遺伝子も同時に変わっていることが判明、「医療応用にはさらなる技術の改善が必要」とした。使った受精卵は子宮に戻しても育たない異常なものだという。

 ヒト受精卵の遺伝子を操作することは、次世代まで影響が及ぶため、倫理面や安全面の懸念が大きい。世界の主な国では遺伝子治療でも受精卵の改変は禁じられている。ただ、ゲノム編集は従来の遺伝子組み換えより簡単に遺伝子を操作でき、研究現場で急速に普及してきた新しい技術。複数の有力科学誌が先月、「ヒト受精卵を編集するな」などの記事を掲載していた。

 京都大の堀田秋津・特定拠点助教(遺伝子工学)は「ゲノム編集は発展途上の技術で安全面の課題も多いうえ、受精卵に使う場合は世界的に規制もない。うまく使えば治療に役立つ可能性もあるだけに、議論が成熟しない段階で受精卵の研究だけが進んでいくことは問題だ」と話す。(合田禄、竹石涼子)

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