[PR]

 統一地方選の後半戦は26日、19区市町村長選、45区市町村議選が投票された。翌日開票の6区を除き、即日開票された。同性パートナーシップ条例への対応が注目された渋谷区長選では、条例のきっかけをつくった元区議の長谷部健氏が、新顔4人の激戦を制した。多選が争点となった中央区長選では、現職の矢田美英氏が8選を果たした。

渋谷区

 渋谷区長選は、元区議で新顔の長谷部健氏が、政党の支持を受けた元都議2人らを抑え、初当選を果たした。「完全無所属」の長谷部氏に、無党派層の支持が集まったとみられる。

 長谷部氏は博報堂社員を経て、2003年から区議を3期12年務めた。今回、桑原敏武区長(79)の後継指名を受けた。

 長谷部氏は12年、区議会で同性カップルを結婚に準じる関係と認めるパートナーシップ証明書を発行することを提案。ナイキ社と連携した区立宮下公園のリニューアルなど、独自のアイデアで注目を集めた。全国で展開するゴミ拾い活動のNPO法人の理事長も03年から務める。若い世代に支持者が多く、選挙運動でも中心を担った。

 当選確実の報が伝わると長谷部氏は「政党の支援はなかったが、まっすぐやりたいことを言えば伝わると信じて戦った」と支持者らに語った。

 渋谷区長選は長年、自民推薦の候補者が当選してきた。しかし今回、自民、公明の推薦を受けてきた桑原区長と、自公とで推す候補者が割れた。

 自公推薦で元都議会自民党幹事長の村上英子氏は、父が元渋谷区長。「安定した区政を実現できるのは私だけ」と訴え、高齢者福祉の充実などを掲げたが、届かなかった。

 元都議の矢部一氏は、区長選には3度目の挑戦。民主、維新、社民、生活が推薦し、共産も支援に回り、「反自民」で結集したが、及ばなかった。

中央区

 中央区長選は、現職の矢田美英氏が、現役の区市長で全国最長の8選を決めた。「多選阻止」を掲げ、区政刷新を訴えた新顔4人を退けた。

 当選の知らせを受けた矢田氏は、事務所前で「民意の審判が下った」と喜んだ。多選批判については「謙虚に受け止め、真摯に対応していく」と語った。

 今回の選挙では、次の4年を「総仕上げ」と位置づけた。この日、報道陣に対して「民意で選ばれた人にバトンタッチする」と話し、次期を最後にする意向を示した。

 過去の7選を支えた自民の推薦が外れたが、町会長らを中心に支持を固めた。

 一方、自民推薦の元区議ら新顔は、矢田氏が進めた人口増加策に伴う待機児童問題を指摘。産業政策の強化や再開発の抑制なども訴えたが、「多選」以外の争点を浮かび上がらせることに苦しんだ。

世田谷区

 世田谷区長選は、現職の保坂展人氏が、自民などの推薦を受けた新顔の久保田英文氏を下し、再選を決めた。区民は、国政の与野党と逆の構図を選んだ。

 保坂氏は当選確実を伝えられると、「待機児童が解消されておらず、保育園だけではなく、子育てを地域全体でフォローしていく新しい世田谷型モデルをつくりたい」と述べた。

 保坂氏は選挙戦で、1期目で力を入れた子育て支援策での実績を強調。保育園の整備促進や、妊娠期から就学期までの切れ目のない支援制度の構築を続けていく方針を掲げた。さらに、賛否が割れている下北沢駅周辺の再開発をめぐり、都市計画道路建設の一部見直しを打ち出した。

 また、区政への住民参加を進める目的で始めたタウンミーティングなどの集会を計250回開いた実績を示したうえで、「トップダウンの区政に戻してはいけない」と訴えた。

 4年前の前回、分裂選挙になった自民は、久保田氏で一本化。久保田氏は保坂区政に対し「施策のスピードが遅い」と批判し、区政の転換を訴えた。だが立候補表明が3月中旬と出遅れ、知名度不足を補えなかった。

墨田区

 新顔3人の争いになった墨田区長選は、元区議の山本亨氏が、共産推薦の西恭三郎氏らを破り、初当選した。墨田区長は区職員・助役経験者が1963(昭和38)年から4代続いてきたが、52年ぶりに区役所の外から区長になる。

 山本氏は祖父と父が都議を務めた政治家一家出身。山崎昇区長(69)の支持も受け、「民間感覚と区民目線で区の可能性を引き出す」と訴えた。

多摩6市 すべて現職

 6市長1村長選があった多摩地区では、いずれも現職が当選を決めた。

 現職と新顔の一騎打ちとなった国立市長選は、累積債務大幅削減の実績などを掲げた佐藤一夫氏が再選。三鷹市長選は、後継者が病気で倒れて告示日直前の出馬表明になった清原慶子氏が4選を果たした。東大和市長選は、現職の尾崎保夫氏が、返り咲きを狙う元市長を退け、再選を決めた。

 このほか、東村山市長選は渡部尚氏が3選、清瀬市長選は渋谷金太郎氏が再選、稲城市長選は高橋勝浩氏が再選した。12年ぶりの選挙戦となった檜原村長選は坂本義次氏が4選した。