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 住民の要望を受けて、地名の呼称を変える地域が相次いでいる。響きの良くない読み方だったり、長すぎたり――。何かとついて回る情報だけに、住民たちの思いは切実だ。

「どぶ」→「つちべ」

 愛知県北名古屋市の一地域でこの春、字(あざ)名の読み方が変わった。「北名古屋市徳重土部」の「土部」の読み方が、「どぶ」から「つちべ」に。「良かった。ほっとした」と地元で生まれ育った井上嘉広さん(58)。井上さんらは昨秋、住民554人の約8割の署名を集めて呼称変更の要望書を市長に提出。市議会は昨年12月、4月1日からの変更を全会一致で可決した。

 徳重土部地域は北名古屋市の北部にあり、北に五条川が流れ、南は名鉄犬山線の徳重・名古屋芸大駅付近までの一帯。マンションやアパートが立ち並ぶ住宅街だ。

 要望書では「どぶ」という読み方のため、「子供が学校で馬鹿にされることもあった。土地や建物の資産価値にもマイナスだ」と訴えた。ただ、読み方を変えるにしても「土部を『とべ』と読むと『どべ』(方言で最下位のこと)と聞き間違えられる危険がある。『つちぶ』だと『恥部(ちぶ)』と音が似ている」と、切実な思いだった。

 市によると、そもそも「どぶ」という字は、江戸時代にはあったらしい。北名古屋市は2006年に西春日井郡の西春町(にしはるちょう)と師勝町(しかつちょう)が合併して誕生した。西春町史によると、1841(天保12)年の絵地図には「どぶ」という地名がひらがなで記されている。明治時代の地名を紹介する欄には「土部」との表記があり、読みがなは「トス(ドス)」とある。湿地だったとの記述もあった。

 しかし、市と住民らによると、昭和期の地名は「西春町徳重○番地」だけで字は無く、昭和40年代の土地改良に伴い「土部」の字が付いたようだという。

 署名運動に携わった市議の平野弘康さん(70)も「いわれは分からないが、五条川の堤防が整備されていない頃は、洪水の被害が多かったのだろうか」と推測する。

 市によると、地名自体を変えるには戸籍や土地台帳の変更などで手間や費用がかかり、住民も免許証などの住所を改める必要が生じるが、読み方なら市議会の承認があればよく、費用はゼロ。井上さんは「住民に負担をかけずに変更が実現でき、皆さんに喜んでもらえた」と話す。

■計23文字…

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