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 統合型リゾート(IR)でカジノを解禁する法案を先月末、自民、維新、次世代の3党が国会に再提出した。

 昨年の衆院解散でいったん廃案になったものだ。法案をつくった超党派議連は「20年東京五輪までに実現を」という。

 ギャンブルは、犯罪を誘発したり、暴力団など反社会的勢力の資金源となったりする恐れがある。遊びとはいえ、金をかけて射幸心をあおるカジノの設置は、ギャンブル依存症や多重債務者を生む恐れもある。

 提案した党の中にも慎重派がいる。推進派議員は何度も法案を出す前に、なぜ国民の間に反対論が根強いのか、根本的に考え直すべきだ。

 再提出した法案には、依存症への懸念に配慮し、日本人の入場に何らかの制限を課すよう、制度設計を担う政府に求める条文を加えた。だが、これだけで不安はぬぐえるだろうか。

 すでに日本にはパチンコのほか、競輪、競馬などの公営競技で、ギャンブル依存症の患者は相当数いる。昨年、「依存症が疑われる成人は536万人いる」とする厚生労働省研究班の推計が注目を浴びた。

 カジノの収益の一部を依存症対策にあてればいい。超党派議連はそんな考えも打ち出す。

 だが、依存症の人たちへの対策は今すぐにでも国の責任でやるべき課題だ。カジノ解禁とセットにする発想は、本末転倒と言わざるを得ない。

 推進派が強調する経済効果にも疑問が消えない。

 韓国、シンガポール、ベトナムなど各国が次々と大型カジノを誘致し、アジアのカジノ市場は競争が激しくなる一方だ。マカオでは昨年、カジノ収入が初めて減少に転じた。中国政府が反腐敗運動を強化し、「上客」の足が遠のいたという。

 「日本人の需要を引き出せば勝機は十分ある」との見方もあるが、それでは入場制限を設ける方針と矛盾してこよう。

 カジノ熱をあおるのは政財界だ。中国や東南アジアで富裕層が増え、観光ブームが続く。IRで日本に呼び込もうというわけだ。しかし海外の観光客にとって日本の最大の魅力は、各地に根付く歴史と伝統だろう。欧米発祥のカジノが、日本の魅力向上につながるだろうか。

 昨年末に知事が交代した沖縄県は「好調な観光の将来に影響を及ぼしかねない」として、カジノ誘致競争から撤退した。

 すでにギャンブル大国と言われるこの国で、カジノを新たに認める必要があるのか。現時点では、とてもそうは思えない。

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