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 裏通りを三、四丁(ちょう)来た所で、平岡が先へ立って或(ある)家に這入った。座敷の軒(のき)に釣荵(つりしのぶ)が懸(かか)って、狭い庭が水で一面に濡(ぬ)れていた。平岡は上衣(うわぎ)を脱いで、すぐ胡坐(あぐら)をかいた。代助はさほど暑いとも思わなかった。団扇(うちわ)は手にしただけで済んだ。

 会話は新聞社内の有様から始まった。平岡は忙しいようでかえって楽な商売で好いといった。その語気には別に負惜(まけおし)みの様子も見えなかった。代助は、それは無責任だからだろうと調戯(からか)った。平岡は真面目(まじめ)になって、弁解をした。そうして、今日(こんにち)の新聞事業ほど競争の烈(はげ)しくて、機敏な頭を要するものはないという理由(わけ)を説明した。

 「なるほどただ筆が達者なだけ…

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