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 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、アジア各国や英独仏など57カ国が創設メンバーとなり、6月に設立協定が結ばれる見通しだ。

 米国とともに参加に慎重だった日本は取り残された格好となり、国会では「このままではバスに乗り遅れる」と早期参加を求める声が少なくない。だが日本が参加するとなれば、当初だけでも、経済規模に見合う1千億円を超える資金の拠出が少なくとも必要となる。

 それだけ国民負担をして、借り手となる国々の民生に資する健全な開発につなげられるだろうか。いま考えるべきことは、その実現のための道筋だ。

 世界各地域の国際開発銀行はいずれも総裁を大口の借り手国以外から出している。借り手に都合よく巨額資金を貸し出す「機関銀行化」してしまう恐れがあるからだ。

 世界銀行やアジア開発銀行(ADB)から巨額の借り入れがある中国が、AIIBで最大出資国となって、総裁も出すとなれば、機関銀行化しない手立てが不可欠になる。少なくともAIIBには、中国の影響力拡大を目的とする融資にばかり流れないよう、透明な運営ルールが求められる。参加国の合意をとりつける常設理事会のような仕組みも必要になるだろう。

 AIIBが健全な運用をするために、日米が主導するADBも協力を惜しむべきではない。過剰な融資の末にAIIBの借り手が返済不能に陥れば、必然的にADBの融資の回収も難しくなるからだ。案件によっては協調融資してもよいし、環境や人権に配慮した融資のルールを確立することも必要になるだろう。協力の先には、両者が合併することも検討対象になるかもしれない。

 もちろん、条件が整えば、日本のAIIB加盟も選択肢になる。要は、健全な国際金融の実現である。

 AIIB参加国が増えた背景には、ADBでは域内のインフラ資金需要に追いつかず、審査も厳しすぎるという借り手国の不満があった。それを受けてADBも、今月初旬に開いた総会で年間融資枠の拡大に動いた。

 世界の経済大国となった中国が存在感に見合うだけの発言権を国際金融の舞台で求めるのは当然のことだ。日米は国際通貨基金(IMF)や世界銀行、そしてADBでも、中国に発言権と役割をもっと与えるべきだ。

 そこで前提となるのは、たとえ支援のためであっても金融の規律に従って、持続可能な投資にすることである。

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