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 抗生物質が効かないチフス菌が世界規模で拡散している実態を、長崎大など25カ国の国際チームが明らかにした。63カ国で採取された1832株の遺伝子の特徴などを網羅的に解析。国レベルの調査ではよく分からなかった拡散の様相も見えてきたという。

 チフス菌は、高熱が続き、下痢なども引き起こす腸チフスの病原体。抗生物質で治療するが、近年は耐性菌が増えている。チームは耐性菌が見つかった1990年代初頭から2013年までに採取された菌を共同で解析した。耐性菌は全体の4割を占めた。

 その結果、チフス菌の大半を占める「H58グループ」の起源はインド周辺と推定され、東南アジア、オセアニアからアフリカへと広く拡散した系統と、インドなど南アジア周辺を中心に広がった系統の二つに分かれたことがわかった。東南アジア周辺とアフリカでは複数の薬に耐性を持つ多剤耐性菌が多く、インドでは特定の薬のみに耐性がある菌の割合が高いなど、耐性菌の特徴と二つの系統の分布が重なっていることも見えてきた。

 国立感染症研究所細菌第一部の泉谷秀昌室長は、「H58の耐性菌が世界的に広がっている状況がうかがえる。海外との行き来が頻繁になるなかで、小規模の集団感染は日本でも起きており、注意が必要だ」と話す。(竹石涼子)

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