【動画】カーテンの奥は「イスラム国」=矢木隆晴撮影
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 がれきが積み上げられた町並みに人影はなく、静まりかえっていた。十字路をふさぐバリケードの奥に、大きな白いカーテンが垂れ下がっていた。

 「あの向こうに『イスラム国』(IS)がいます」

 同行したシリア情報省の職員が言った。カーテンは、過激派組織ISの狙撃手を警戒する政権軍の兵士が目隠しで掛けたという。

 シリアの首都ダマスカス中心部から南へわずか約5キロ。パレスチナ難民が身を寄せるヤルムーク難民キャンプは2011年の内戦開始後、反体制派の武装勢力に占拠されてきた。さらに4月、ISが突如侵攻。政権軍と激戦を繰り広げ、今も広さ約2平方キロのキャンプの半分以上を占拠する。パレスチナ関係者によると、難民6千人がその支配地域に取り残されている。

 朝日新聞記者が17日、政権側の奪還したキャンプの一部地域に、軍の許可を得て入った。(ダマスカス南部ヤルムーク=翁長忠雄、矢木隆晴)

家族8人、雑草スープでしのぐ

 過激派組織「イスラム国」(IS)に侵攻されたダマスカス南部のヤルムーク難民キャンプ。故郷に戻れず、長くここで暮らしてきたパレスチナ難民は、内戦の激化で、さらに苦境に追い込まれていた。

 キャンプ内の商店街は、陶器などの店舗が砲弾を受け、壁に大きく穴が開いていた。建物の2階の窓には砂袋が積まれていた。反体制派の狙撃手がいた場所だという。

 キャンプに隣接する小学校には、脱出した住民85人が身を寄せていた。

 住民によると、4月1日、長いひげをはやしたIS戦闘員がバイクや徒歩でキャンプに入ってきた。

 それまでキャンプを制圧してきたのは、アルカイダ系武装勢力「ヌスラ戦線」。彼らが、本来は敵対関係にあるISの手引きをしたとみられる。首都ダマスカスをうかがう距離にあるキャンプで、両組織は「反アサド政権」で結束しているようだ。

 住民の一人、ムハンマド・ヤクーブさん(52)によると、キャンプに入ってきたIS戦闘員は体格のいい若い男性を見つけると、「我々に忠誠を誓え」と迫った。拒否した人は首を切られて殺されたという。

 ヤクーブさんの息子のアムジャドさん(17)は戦闘員に銃で殴られ、顔が血だらけになった。連行中、戦闘員が一瞬目を離した時に、偶然近くにいたヤクーブさんが助け出した。家族8人は、4月3日に政府軍系の民兵の協力を得てキャンプを脱出した。

 IS侵攻の前も、住民は餓死の…

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