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 倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家について、市町村が所有者に撤去を命令できる空き家対策特別措置法が26日、全面施行される。人口減や高齢化で全国の空き家は800万戸を超え、各地で対策が求められていた。自治体は歓迎するが、解体費の負担などの課題もある。

住民から苦情、膨らむ代執行費用

 羽田空港に近い東京都大田区西糀谷3丁目の住宅地に、コンクリートの基礎部分が残る空き地がある。昨年5月まで、木造2階建ての無人アパートがあった。

 床面積187平方メートルで築46年。トタン屋根がはがれ、隣家の敷地や道路に落ちていた。テレビやソファなど粗大ゴミも散乱。区に2006年ごろから「危ない」と住民の苦情が寄せられ、台風前には消防が屋根の一部を撤去した。

 区は所有者に撤去を呼びかけ、十数回にわたって説得した年もあったが、応じなかった。13年4月、罰則はないが所有者に代わって危険な空き家を解体できる「空き家条例」を制定し、有識者委員会の審議をへて代執行で解体した。

 近くの70代女性は「火事なんか起こればたまったもんじゃない。みんなほっとしている」と話す。

 区に苦情が寄せられた空き家は161軒ある。河原田光建築調整課長は「新法は所有者にペナルティーを科し、行政の指導力が上がる」と話す。

 一方、秋田県大仙市の担当者は「代執行のたびに負担が膨らむ」と不安を口にする。12年3月に全国で初めて空き家解体を代執行した。これまで、小学校の通学路に接する倒壊寸前の倉庫など3件13棟を解体したが、費用は計約600万円。所有者に請求したが、支払い能力がなく、回収できたのは3万円という。

 現在、修理や解体などを所有者に求めているのは40件ある。担当者は「危険な空き家は撤去するが、市の財政は厳しい」と話す。

 北海道室蘭市の市役所前には、外壁が崩れた木造の2階建て建物が立つ。市は昨年6月、バリケードで近寄れないようにした。所有者は死亡し、相続人も相続放棄したため、代執行しても費用を回収できない。担当者は「個人財産の処分に税金は投入しづらい」と話す。

 空き家問題に詳しい富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は「個人資産である空き家は自主撤去が基本だが、危険が迫る場合、代執行せざるを得ない場合もある。時とともに空き家は老朽化が進み、代執行前に所有者に対応を促す工夫が求められる」と指摘する。

■所有者に過料、強制…

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