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羽生名人「苦しい展開が続いた」

 【午後11時】名人位を防衛した羽生名人の記者会見が行われた。やりとりは以下の通り。

――防衛の実感は

「感想戦もやり、終わったんだなという気がしている」

――今シリーズ、競った内容が多かった

「特に2局目以降はずっと苦しい展開というか、作戦的なところから押されている状況が続いた。かなり厳しいんじゃないかなという気持ちを持ちながら指していた」

――逆転する秘訣(ひけつ)みたいなものは

「持ち時間9時間あるので、できるだけのことは頑張ろうという気持ちはありましたが。それが秘訣につながるかはわからないですけど、気持ちの面では折れないように指せたらいいなというつもりだった」

――苦しい局面で、どういう心境だったのか。例えば第4局は大変そうに見えたが、そういう時の気の持ちようは

「時間が長いと不利な局面を見ている時間も長くて、だんだん嫌になってくる(笑)。1手指して急に良くなるわけではないが、その状況の中でできる限りのことをやろうとは考えていた。4局目は、もうちょっと違う手を指されていたらすぐに投了、という場面もあった」

――七番勝負の5局の中で印象に残る将棋は

「今日の将棋は一番印象に残っている。入玉模様になってからごちゃごちゃと。こっちが入玉して、相手が来るのを止めて。駒数がどうなるのかという意味で。意外と手数が短くてびっくりした。自分としては200手ぐらい指したのではないかと。非常に考えがいのある面白い将棋でした」

――今日は入玉将棋だった

「入玉を目指した時は捕まらないように、ということを考えていたが、(敵陣に)入った時は駒数勝負になるんじゃないかと思っていたので、それを気にしていた。3、4点ぐらい駒数が足りない状況だったので、攻める筋も見せながら、持将棋になれば御の字かなと思って指していた」

――最近はコンピューターが強くなっている。今回の七番勝負において、人間対人間の勝負をどう表現できたと思うか

「見ていただいている人たちがどう評価するかだと思う。ただ、多かれ少なかれ、コンピューターの影響みたいなものが続いていくかなと思う。技術的なところでも影響がかなりあるのではないかと思う」

――これでタイトル獲得91期。100期が視野に入ってきているのでは

「もう来週、次のタイトル戦がある。あまりのんびりはしていられない。1回のチャンス、機会を大事にしていきたい。強い若手もたくさん出てきているので、大変だとは思っている。そういうこと(=100期)も一つの目標にして前に進んでいけたら」

――今シリーズの5局とも、自分の手番で休憩に入っていた。わかりやすい局面でも封じ手にすることあった。時間の使い方は意識しているか

「封じ手は、もう1手指して相手に指された時にやる手が決まっていないと困ることがある。盤上とは別のことで考えることはある。2日目の夕食休みのところは時間が少なくなっているので、手番のことはほとんど考えていない。今回はたまたまそうなっている」

――行方挑戦者は踏み込んでくることが多い、と話していた。普段の番勝負とどう違うかということをもう少し教えていただきたい

「攻撃的に踏み込んで攻めてくることが多い。しかし、一転して受けてくる、粘ってくることがある。一本調子で終わることなく、その先があることが多い。どんな場面でも気を引き締めてという言い方は変かもしれないがが、そういう気持ちで指していた。(行方挑戦者が)今期A級で長い将棋を2局勝たれていたので、あまり良くない展開になったかなと思っていたが、避けられなくなってしまったので」

――羽生名人の将棋としては珍しい入玉将棋になった。入玉の時、心がけていることは

「玉を詰ますということとは全然違う。駒の数が大事なので、局面を直線的にとらえないという考え方をよくやっている。特殊な将棋なので、普段とは違う発想で指している」

――入玉将棋は得意か

「割合としてはそんなにやっていないと思う。得意ではないと思うが、そういう将棋になってしまったのでしょうがないと思っていた」

羽生、名人防衛

 【午後9時40分】行方八段が投了。170手までで羽生名人が勝ち、名人位を防衛した。

名人が勝勢

 【午後8時30分】後手の羽生名人が入玉を果たした。もう後手玉は寄らない。先手の行方挑戦者の玉が入玉できるかどうかがポイントだが、後手の駒が待ち構えており、難しそうだ。羽生名人の勝利、そして防衛が近づいている。(村瀬信也)

名人の玉、上部に脱出

 【午後7時20分】行方挑戦者の猛攻に対し、羽生名人は2三の玉を2四→3五→2六と3手連続でスルスルと上部に脱出させた。周囲に自分の守りの駒が少ないだけに怖い受け方で、控室ではあまり有力視されていなかった。ムードは「名人よし」だが、挑戦者の攻めを途切れさせるのも簡単ではない。副立会人の佐藤天彦八段は「難解です」。

 いよいよ大詰め。両対局者とも、前傾姿勢になって考えている。(村瀬信也)

対局再開

 【午後6時30分】対局が再開した。羽生名人はすぐに△3九飛を着手。先手玉の薄さを突く一着だ。ずっと受けに回っていた名人、反撃開始か。(深松真司)

最後の休憩に

 【午後6時】30分間の休憩に入った。両対局者には軽食が出される。再開後は、最後まで休みなく対局が続けられる。依然として、行方挑戦者の攻めが続くか、羽生名人がうまくしのぐかがポイントとなっている。(村瀬信也)

挑戦者、猛攻を開始

 【午後4時25分】行方挑戦者が▲2三同銀成と猛攻を開始した。先手の銀損にはなったが、後手の羽生玉の守りは薄い。

 副立会人で解説を務める佐藤天彦八段は「受けている羽生名人は、自信があるというより『しょうがない』と考えて指しているのでは。ただ、先手にとっても攻めが途切れるかもしれないという不安があります。先手の攻めが続くかどうかが焦点です」と話す。(村瀬信也)

プロの卵の見解は?

 【午後3時30分】別会場で開かれている大盤解説会に出演するため、検討室から棋士がいなくなった。モニターの前には2人の奨励会員が座って、戦いを見守っている。

 藤田彰一三段(23)は福岡県柳川市出身。27日に福岡県飯塚市であった女流王位戦の記録係を務め、勉強のため名人戦の見学にやって来た。現局面について「先手(行方挑戦者)は2筋の歩を突き捨てたからにはガンガン攻めていきたい、1歩得している後手(羽生名人)はまったりした展開にしたい。どちらかといえば、後手を持ってみたい。受ける方が好きなので」と語った。

 もう一人は、福岡市在住の中学2年、古賀悠聖(ゆうせい)初段(14)。大盤解説担当の中田功七段門下で、中田七段が「いま、一番伸びるとき。頑張ってほしい」と期待する有望株。古賀初段は「後手の7三銀が取り残された感じ。先手の1五銀との働きの違いが大きく、先手の攻めがつながりそう。ただ攻め間違うと一気に逆転してしまう恐れもあるので、慎重に攻めたい」との見解だ。(深松真司)

内藤九段、大盤解説会に

 【午後3時】福岡市中央区の電気ビル共創館では大盤解説会が開かれている。

 この日は、3月末に現役を引退した内藤國雄九段が特別ゲストとして登場。会場は拍手に包まれ、カメラを向ける将棋ファンの姿もあった。内藤九段は壇上でマイクを握り、軽妙なトークで場をわかせた。

 「年を取ってから不思議に思うことが増えている」と言い、「将棋というのは敵味方20枚ずつ、全く同じ能力の駒を与えられて、必ず1手交代なんです。棋士の能力も才能もほとんど同じなのに、これで何で勝負がつくんか。そんなことを考えているんですね」と感慨深そうに話した。

 壇上で花束を渡されるサプライズもあり、会場は和やかなムードに包まれた。解説会は終局まで続く。(山崎聡)

挑戦者、5回目のジンジャーエール

 【午後3時】両対局者におやつが運ばれた。羽生名人は「旬のフルーツ盛り合わせ(メロン、アメリカンチェリー、オレンジ、ビワ、デラウェア、サクランボ、リンゴのシナモン煮)」とホットレモンティー。行方挑戦者は「和風抹茶白玉のバニラアイス添え」と、自家製ジンジャーエール。挑戦者のジンジャーエール注文は、なんと5回目。(深松真司)

対局再開

 【午後1時30分】記録係の渡辺和史三段が「時間になりました」と告げ、対局が再開した。羽生名人はほどなくして△7五歩を着手。行方挑戦者は1時37分ごろ姿を見せた。「昼はゆっくり」がいつものペースだ。(村瀬信也)

昼食休憩に

 【午後0時30分】昼食休憩に入った。羽生名人は「博多一番鶏のから揚げと刺し身定食」と100%グレープフルーツジュース、行方挑戦者は「地鶏スープ仕立てのうどん(天ぷらつき)」と自家製ジンジャーエールを注文した。自家製ジンジャーエールは高知産のショウガをすりおろして作っている。行方挑戦者は気に入ったようで、これで4回目の注文だ。

 対局は午後1時30分に再開する。(村瀬信也)

福岡出身の師弟

 【午前9時50分】副立会人の佐藤天彦八段(27)と、大盤解説を務める中田功七段(47)が控室で局面を検討している。佐藤八段は中田七段の弟子。共に福岡出身で、前夜祭では地元の人たちから喝采を浴びていた。

 佐藤八段は福岡市内にある「六本松将棋道場」に通い、力をつけた。8歳の頃からこの道場で中田七段に指導を受け、その後に中田門下として奨励会に入った。佐藤八段は「道場に通っていた頃から知っている人たちが、(順位戦の)A級昇級の祝福の言葉をかけてくれた。師匠と一緒に地元で仕事ができるので、地元の人たちにも喜んでいただければ」と話す。

 封じ手の△7三銀は、受けに回る意思を示した手。「先手の攻める態勢ができてきた。先手を持ってみたい」と佐藤八段は話す。(村瀬信也)

封じ手は△7三銀、2日目始まる

 【午前9時】羽生善治名人(44)に行方尚史八段(41)が挑戦している第73期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が福岡市の「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」で再開され、2日目に入った。

 1日目の指し手が並べ直され、立会人の深浦康市九段が封じ手を開封した。前日夕に羽生名人が封じていた46手目は△7三銀。8四の銀を引いて、45手目▲6三角の当たりになっていた7四の歩を守った。検討陣の予想にあった手の一つで、解説の佐藤天彦八段は「△7五歩ほど激しくはありませんが、局面は動きます。行方挑戦者が攻める展開になりそうです」と話す。

 持ち時間は各9時間で、1日目の消費時間は挑戦者が3時間49分(残り5時間11分)、名人が4時間17分(残り4時間43分)。

 ここまで3勝1敗の羽生名人が勝って防衛を決めるか、行方挑戦者が踏みとどまって次局以降へ望みをつなぐか。大一番は本日夜までに終局する見込み。(深松真司)

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