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 巨大な噴煙が空を覆い、住民たちは急いで島から脱出した。鹿児島県・口永良部(くちのえらぶ)島で29日、新岳(しんだけ)が突然噴火し、島にいた137人全員が島外に避難した。住民らは、約12キロ離れた屋久島の公民館などに身を寄せて、不安そうに夜を過ごした。

 口永良部島の医師、久保利夫さん(78)は大きな音に驚いて窓から新岳を見た。真っ黒な煙がむくむくと幅を広げながら空高く上っていった。口永良部島の本村(ほんむら)地区にある屋久島町立へき地出張診療所に勤務。「『灰が落ちてくる前に逃げよう』と看護師、妻と3人で声を掛け合い、往診用の軽自動車に乗り込んだ」

 向かった先は、町が指定する避難所のある島の北西部の番屋ケ峰頂上。車の窓は全部閉めた。噴煙は本村地区の集落をかすめて、港の沖合を流れていったという。「ああよかったと、とにかく安心しました」

 民宿を経営する貴舩(きぶね)森さん(43)は、火口から2・2キロの距離に住む。

 庭の草刈り中だった。「ドーン」。腹に響くような音が鳴った。すぐに自分の真上まで噴煙が覆った。「とんでもない景色。焼け死ぬと思った」。妻と近所に向かって叫んだ。「噴火したぞ! 準備しろ!」。妻を待つ間、数十秒。200メートル先に火砕流が見える。「とんでもないスピード。昨年8月の噴火とは比べものにならない」。どす黒い色の灰に、マツなどの木々がなぎたおされていった。100メートル先の家は灰まみれに。「生きた心地がしなかった」。地元の消防団員でもある。いったん妻と別れて消防車に乗り換え、80代の老夫婦の家に向かった。小刻みに体を震わせる夫婦。「大丈夫、大丈夫」。自らにも言い聞かせるように、そう話しかけた。

 本村地区の区長、林信昭さん(69)は噴火時、火口から北西方向に2キロほど離れた畑にいた。「大きな音とともに灰が迫ってきた。太陽光を遮るくらいに辺りが急に暗くなった」。畑でジャガイモの収穫をしていた妻と一緒に車に乗り込み、番屋ケ峰の避難所に急いだ。「他の島民が心配だった。でも、避難所でみんなに会えてほっとした」

 昨年8月の噴火と比べ、規模が違ったという。「噴煙が高く、家が揺れたと話している人もいた。山火事も何カ所かで起きているようだった」と振り返った。「でも昨年秋の避難訓練や消防団の働きで、避難や安否確認もスムーズにできた。島民の『すぐ逃げねば』という意識もあった」

 夕方には島を離れ、屋久島に着…

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