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 「ペッパイちゃん」は、ヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」の胸部が、そのまま女性の「胸部」となり、タッチするとそれっぽく反応するプログラムです。最新のテクノロジーを駆使したジョークのようで、「ペッパーならセクハラは許せるのか?」という問いかけにも……。ロボットと人間の未来に一石を投じるプログラムかもしれません。

常に人だかり

 2015年5月30日、東京・千代田区で開かれた「Engadget例大祭」に出品された「ペッパイちゃん」の前には、常に人だかりが。来場者は笑いながら、少し恥ずかしそうに、「ペッパイちゃん」の胸部タブレットを触っています。

 タブレットに表示されているのはアニメ風にアレンジされた「おっぱい」です。指で触るとタッチパネルのセンサーが反応し、「ペッパイちゃん」が音声とともに大げさな動作で応えてくれます。

「タブレットの位置が…」

 制作したのはデザイナーの市原えつこさんです。「ペッパーのタブレットの位置が、いかにも『あれ』だったので」という市原さん。ハッカソンでアイデアを発表すると、10人のエンジニアが開発に名乗り出て、5時間で作り上げてしまったそうです。

 市原さんは「元々、日本は性的なものに対する豊かさがあった。それを最新のテクノロジーの塊であるペッパーでも形にしたかった」と語ります。

 会場でお披露目された「ペッパイちゃん」のまわりには、女性の姿も少なくありませんでした。「写真も映像もインターネットも、これまでの技術は、性的な世界と関わることで拡張してきました。しかし、今の日本社会では、男性が公的にエロを発信することはご法度になっています。女性だと、ある意味中立な立場でエロを取り扱うことができると思いました」と市原さん。

触る位置で6パターン判定、動作は10種類以上

 ジョークのようなプログラムに見えますが、細部にはこだわりがあります。触る位置によって「ペッパイちゃん」の反応は6種類も用意されています。手や首などの動きも10パターン以上。

 モーション部分を担当した、ちかっぺちゃさんは「ペッパーは、人間よりも関節が少なく、可動域が限られています。『それっぽく』見えるよう、順番に少しずつ動かし時間差を作り、しなやかに見えるよう工夫しています」と話します。

触りすぎると通報

 「ペッパイちゃん」には、ペッパーのカメラ機能と通信機能、そして顔認識機能を組み合わせた通報プログラムも仕込まれています。触り過ぎた人は顔写真が撮影され、自動的にツイッターへ投稿されます。投稿には顔認識機能によって年代や性別も「さらされ」ます。

 ささやかな「ペッパイちゃん」の反撃とも言えるこの機能。ロボットならセクハラは許されるのか、という問いかけと受け取ることもできます。

ロボット社会への問いかけ?

 ロボットが身近になった今、ロボットに感情移入する例は少なくありません。ソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」は、サポート停止によって動かなくなった「愛機」の葬儀を頼む人が出て話題になりました。グーグルが開発した4本足のロボット犬をめぐっては、倒れない性能をアピールするため何度も蹴る様子に「虐待」と指摘する声が出ました。

 ロボットが様々な分野に登場しつつある時代。「ペッパイちゃん」のけなげなリアクションが発するメッセージは、案外、深いのかもしれません。