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 大阪市港区の水族館「海遊館」について、運営会社の筆頭株主の大阪市が、保有する株式すべてを近鉄グループホールディングス(HD、同市天王寺区)に24億8千万円で売却することが固まった。市は出向役員も引き揚げ、1990年の開館から25年で、完全民営化されることになる。

 4日の市議会建設消防委員会が関連議案を賛成多数で可決。10日の本会議での可決後、7月末までに海遊館の全株式の25%にあたる1万株を売却する見通しだ。経営の主導権は、現在8%の株を持つ近鉄HDに移る。

 海遊館株を巡っては、市が2007年、財政再建の一環で、近鉄側と全株式の22%を9億1520万円で売却することで合意。しかし、市議会から「なぜ優良株を手放すのか」などと批判が相次ぎ、白紙撤回に追い込まれた経緯がある。

 その後、11年に就任した橋下徹市長が外郭団体の株式を原則売却する方針を打ち出し、交渉を再開。14年3月に1億円以上の株式売却は市議会の議決が必要になる条例が制定され、慎重に交渉を進めてきたが、議会側も「海外客が増えており、民間ノウハウを生かした方がいい」(公明党市議団幹部)と理解を示した。

 海遊館は年間242万人(13年度)が入場する人気水族館。昨年度の市への株式配当は2千万円あった。市港湾局によると、近鉄HDのグループ会社が運営する水族館「志摩マリンランド」(三重県志摩市)のノウハウへの期待があり、売却後も海遊館の発展と地域貢献に協力し合う合意文書を近鉄側と交わしているという。近鉄HDは「あべのハルカスとの連携など、グループ会社としての強みをいかせるようにしたい」と話している。(藤田遼)