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 有識者らでつくる民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)は4日、今後10年で東京など1都3県の「東京圏」の介護需要が45%増えて施設と人材の不足が深刻になるとの推計を発表した。対策として、高齢者の地方移住などを提言。具体的な候補地として医療・介護に余力のある26道府県の全国41地域を挙げた。

 今回の提言は、少子化と人口減少が止まらず、存続が危ぶまれる全国896の市区町村を「消滅可能性都市」と指摘した昨年の提言に次ぐもの。

 国が進めている住み慣れた地域で在宅医療や介護サービスを使って高齢者が暮らす体制づくりも「東京圏では難しい」(増田氏)とみて、移住という大胆な提言に至った。増田氏は先週、安倍晋三首相に面会して概要を説明したという。菅義偉官房長官も4日の記者会見で地方移住について「地域の消費需要の喚起や雇用の維持にもつながる。地方創生の効果が大きい」と述べた。

 介護や医療の需要は75歳以上の高齢者の増加に伴って増える。厚生労働省の統計をもとに将来人口で推計すると、2025年までの10年間で介護サービス利用者が東京都や埼玉・千葉・神奈川の3県の「東京圏」が45%、近畿36%、北海道32%などと増加する。介護利用者は全国で25年までに168万人、40年までに313万人増える推計だ。

 介護施設や高齢者住宅の受け入れ人数は現状では東京区部で大きく不足していて周辺県に移る高齢者もいる。25年になると不足は周辺の埼玉・神奈川県にも広がり、東京圏全体で深刻になると予想されるという。

 医療需要を入院患者数で推計すると、25年までに東京圏22%、近畿16%、北海道16%などの増加になった。東京圏では、救急患者の受け入れが悪化する可能性が高いという。

 東京圏の高齢化問題への対策としては、地方移住のほか、①外国人介護人材の受け入れやロボットの活用②集住化や団地再生、空き家の活用などを提言した。

 移住先の候補地を探すため提言メンバーの高橋泰・国際医療福祉大教授が全国を344地域に分け、医療と介護の「余力」を評価。医療は車で1時間以内に行ける急性期病院の住民1人あたりの利用できるレベルを評価。介護については40年時点の介護需要を満たすかで判定した。その結果、函館(北海道)、室蘭(同)、高知(高知県)、別府(大分県)、大牟田(福岡県)などの41地域が「余力がある地域」に該当した。

 これに対して、「縁もゆかりもない地方に介護、医療が充実しているから行くというシナリオはピンと来ない」(神奈川県の黒岩祐治知事)など、医療、介護や自治体関係者からの反発や効果を疑問視する見方もある。(編集委員・浅井文和)