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 「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品で知られる漫画家の水木しげるさん(93)が73年前、太平洋戦争への出征直前に書いた手記が見つかった。原稿用紙38枚に書き連ねた文章からは、死の恐怖におののき、哲学や宗教に救いを求めつつも自分を貫こうとする20歳の青年の姿が立ち上ってくる。

 《芸術が何んだ 哲学が何んだ 今は考へる事すらゆるされない時代だ 画家だろうと 哲学者だろうと 文学者だろうと 労働者だろうと 土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ 人を一塊の土くれにする時代だ こんな所で自己にとどまるのは死よりつらい(1942年10月6日》)

 手記は5月末、水木さんの長女の原口尚子さん(52)が東京都調布市の事務所で古い手紙を整理していて見つけた。原口さんは「読み始めると、時代に立ち向かう父の気持ちが魂の叫びのようにあふれ出てきて、圧倒された」という。

 文章にタイトルはない。所々に振られた日付から、徴兵検査の合格通知が届いた直後の42年10~11月の約1カ月に書かれたと推測できる。夜間中学に通っていた水木さんは、その数カ月後の43年春に入隊。ラバウル(パプアニューギニア)の激戦で、多くの仲間と左腕を失うことになる。

 《吾(われ)を救ふものは道徳か 哲学か 芸術か 基督教か 仏教か(中略)道徳は死に対して強くなるまでは日月がかかり、哲学は広すぎる》

 《静かな夜、書取のペンの音が…

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