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 政府と東京電力は、福島第一原発事故の損害賠償にかかわる新たな方針を月内にも打ち出す。強制避難したすべての商工業者に対する営業損害の賠償を2016年度で終了させ、事業再建のための支援に切り替えることなどが柱だ。休業や減収を余儀なくされている事業者からは反発も起きそうだ。

 原発事故で東電が個人や法人に払った賠償額は、4月末現在で5兆円近くに達している。新たな方針のもと、賠償総額は6兆円程度に収まる見通し。

 避難指示区域から避難した約8千事業者にはこれまで、営業損害の賠償として4年分の逸失利益が支払われている。新たな方針では2年分の損害賠償がまとめて払われ、一括での賠償は終了する。個人事業主はすべて、事業を再開していなくても賠償する。大企業や中小企業は一括払いの対象から外すことも検討する。

 避難指示区域の外の観光業者や食品加工業者らが風評被害にあった場合に支払われてきた損害賠償についても、16年度までの2年分を払い、終了する。これまでは、事故前の利益と直近の利益の差を毎年証明させて賠償してきたが、新方針では直近の利益をもとに2年分をまとめて計算し、一括払いにする。農林水産業者への賠償は当面続ける。

 政府は、賠償の終了に向け、事業の再建や転業、転職などを個別に支援する法人を官民合同で設立する。月内に、福島県内の経済団体と協議を始める。

 また、避難者への慰謝料は、放射線量が最も高い帰還困難区域が1人一律1450万円で、ほかの区域は1人に月10万円を支払ってきた。この月額払い方式を18年3月分までで打ち切る。帰還困難以外は7年分の840万円となる。

 賠償の資金は一時的に国が肩代わりするが、最終的には原発を持つ電力会社が電気代などから負担する。