[PR]

 愛知県刈谷市の逢妻(あいづま)川で、県立知立高校1年、吉田達哉さん(15)が集団暴行された後、川の中から遺体で見つかった事件で、愛知県警は10日、司法解剖の結果、死因は水死だったと発表した。顔や胸などには数カ所の打撲の痕があり、県警は、暴行との因果関係を調べている。

 この事件では、県警が7日に中学3年(14)と会社員(15)、私立高校1年(16)の少年3人を暴力行為等処罰法違反(集団暴行)の疑いで逮捕している。3人は、殴りつけた回数など暴行の程度についてそれぞれ食い違う供述をしているといい、遺体の状況をもとに供述の裏づけを進める。

 県警によると、遺体は死後3~5日経過していると推定され、打撲の痕のほか、両手足には擦り傷もあった。切り傷や骨折、臓器の損傷はなかったという。

 逮捕された少年3人は、6日午後10時40分ごろ、同市逢妻町3丁目の逢妻川の堤防上で、吉田さんの顔を素手で殴ったり、腹を蹴ったりするなど、集団で暴行を加えた疑いがある。

 調べに対し、暴行時の状況について、1人の少年は「顔を数回殴った」と供述しているが、別の少年は「顔を10回以上殴った」、「(相手が)襲いかかってきたからひざ蹴りした」とも話しており、食い違っているという。

 また、少年らは「対岸まで泳いで戻ってきたら許してやると言った」と供述。県警は、吉田さんは暴行を受けた後、川に入って水死したとみている。現場付近には吉田さんのベルトや靴、スマートフォン、財布が残されていた。

 県警は刈谷署に捜査本部を設置し、事件当時、近くにいた15~16歳の遊び仲間の少年少女6人からも事情を聴くなどして、捜査を進めている。逮捕された少年の一部には遺体が見つかったことが伝えられたが、取り乱すことはなく、淡々とした様子で取り調べに応じていたという。

LINEで交友接点、学校把握できず

 「外の悪い仲間と付き合い始めた」。中学時代の複数の同級生が吉田さんが中学3年ごろから、校外のグループと親しくなったのに気づいていた。だが、出身中学も高校も、学校の枠を超えて広がる交友関係を把握できていなかった。

 刈谷市教委によると、逮捕された会社員(15)や高校生(16)は中学時代から学校を休みがちで、非行グループに属していることは把握していた。一方、中学も高校もほとんど無欠席の吉田さんについては「心配のない生徒」とみていた。事件前日の5日も普段通り通学しており、知立高校の小山真臣教頭は「信じられないとしか言えない」。

 県警によると、吉田さんは6日夜、名古屋市内の祭りに行った後、事件現場となった川の堤防に向かった。その際、少年らは無料通信アプリ「LINE」でやり取りしていたという。吉田さんの中学時代の恩師は「LINEを通じて他校の生徒と絡んでトラブルになると、守りきれない」と話す。刈谷市ではこうしたトラブル防止のため、昨年から、小中学生は「午後9時以降、スマホを親に預ける」という取り組みを始めていたが、功を奏さなかった。

 名古屋市のNPO法人「全国こども福祉センター」の荒井和樹理事長は「学校に居場所のない子どもたちほど、校外でグループを作る傾向があり、学校で交友関係を把握するのは難しい」と指摘。地域や民間と情報を共有することの大切さを強調する。

 荒井さんは、祭りなどに出向き、つながりを求めて集まってくる少年少女に声をかける活動をしている。「子どもは管理されるのを嫌がるが、管理と愛情で向き合っていくしかない」と話す。