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 豚の生肉を12日から客に出せなくなる。レバー(肝臓)や心臓、胃袋といった内臓も含む全面禁止だ。市中では、惜しんだり今後の売り上げへの影響を気にしたりする声も。厚生労働省は「必ず加熱処理を」と呼びかけている。

大阪の飲食店、客から問い合わせ相次ぐ

 「豚の生肉はまだ食べられますか」。厚労省が提供禁止の方針を示した5月下旬以降、大阪・キタの飲食店「大衆炭火やきとん ぶった」お初天神店には客からの問い合わせが続く。

 名物メニューは豚のホルモン焼きだが、生レバー、心臓や胃の刺し身を注文する客も少なくない。今月5日に知人と同店を訪れたフリーター大森楓さん(21)=大阪市=は「牛レバーが禁止になったんで、豚の生肉を食べてみたら、はまりました」。12日から禁止になることに「生肉好きとして、次は何を食べたらいいのか」と表情を曇らす。

 「関西では牛肉が好まれますが、実は豚も浸透しているんです」という店長の宿利(しゅくり)研仁さん(37)だが、「生食禁止は世の流れで仕方がない。これからは串焼きで味わってもらいます」と話す。

 2010年の開店以来、「半生」の豚レバーを客に提供してきた「豚ホルモン串凛(りん) 明石本店」(兵庫県明石市)。真空パック状態で仕入れ、店で出すのは仕入れ当日のみとしてきた。1皿390円(税別)で、多い日は約40皿の注文があった。仲原聖(たかし)店長(29)は「開店以来のメニューが提供できなくなるのは残念。これからの売り上げにも影響してくるだろう」と懸念している。

場合によっては営業停止も

 厚労省によると、生ハムやローストポークなどは加工基準があったが、食習慣として豚肉は「加熱処理」が一般的で、生の肉や内臓の規制基準はなかった。ところが、牛ユッケによる集団食中毒事件が発生。牛の生レバーが禁止された12年7月以降、代わりに豚の生の内臓を出す店が目立つようになった。

 豚の生肉はE型肝炎ウイルスや食中毒菌、寄生虫に汚染されている可能性があり、厚労省は食品衛生法の基準を改正。飲食店に対して「中心部を63度で30分以上」か、あるいは同じ程度の殺菌効果がある加熱処理を義務づける。違反が確認された場合、厚労省食品安全部基準審査課は「ケースによって営業停止といった行政処分や罰金などが科される」としている。

 牛の生レバーをめぐっては、規制された後も「裏メニュー」として出した店をめぐる食品衛生法違反事件が起きた。同課の担当者は「『新鮮なら大丈夫』というのは誤解。汚染リスクがあり、十分に加熱して食べてほしい」と求めている。(足立耕作、石塚大樹)