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旭化成・浅野敏雄社長(62)

 《旭化成が1960年から売る「サランラップ」は、食品包装用ラップの市場で売り上げトップを走り続ける。昨年6月に、箱の色を定番だった黄色から、緑、赤、青の3色に変えた。》

 変更後しばらくは、消費者だけでなく、役員の家族からも「サランラップが店に売っていない」と、お叱りを受けました。でも、昨春の消費税増税後の売り上げ減も落ち着き、新デザインも浸透してきたので、2015年度は売り上げを1割以上増やせるとみています。

 多くの方に愛用されている理由の一つは、素材の力だと考えています。原材料の「ポリ塩化ビニリデン」という合成樹脂は、普通のポリエチレン製ラップよりも酸素を通さず水分を保つ力が強く、食品の鮮度が落ちにくい。実は、箱にも細かい工夫をしています。左右どちらの手に持ってもなじむように、底面にエンボス加工をつけました。刃の形も、ラップが途中で破れにくいよう改良しました。ラップの飛び出しを防ぐストッパーも、箱の側面に実はあります。

 いまは日本中心ですが、中国では04年に、「旭包鮮」の名前で本格的に発売しました。カルフール、大潤発など大手量販店の専用の売り場に加え、最近はインターネット通販で人気商品にもなっています。まちなかに屋台がたくさんあるアジア諸国では、食べきれなかったものにラップをかけて保存する習慣はまだ一般的とは言えません。でも、今後は少しずつ、グローバルに売り出していきます。

 過去を振り返れば、日本でも売れ始めたのは、冷蔵庫の普及が本格的に進んでから。中国やアジアでも生活水準が上がってきているので、地道に使い方を提案していけば、支持は得られると思っています。(聞き手・伊沢友之)

水虫からも守る

 原材料の合成樹脂「ポリ塩化ビニリデン」は、米国で開発された。太平洋戦争時には銃や弾丸を湿気から守るフィルムや、兵士の足を水虫から守る靴の中敷きなどに使われた。

 1940年代後半、ある日、米フィルムメーカー社員の妻2人が、レタスをフィルムに包んでピクニックに持ってきたことがきっかけとなり、サランラップを開発。商品名の「サラン」は、2人の妻のサラとアンの名前にちなむ。

 旭化成は染色や紡績などの技術を学ぶため、米化学大手デュポン・ケミカルから同じ樹脂でつくる繊維の生産で技術提携。だが、あまり売れず、食品包装ラップでの利用を進めた。同じ樹脂の繊維は丈夫で強く、漁網や人工芝、リカちゃん人形の髪の毛などにいまも使われている。

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