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 列車通過時の振動や空中を飛ぶ電波など身の回りで活用されていない微小なエネルギーで発電する「エネルギーハーベスティング(環境発電)」の研究が加速している。機器の電池交換や配線がいらなくなるのが利点だ。多数のセンサーからの情報を活用する「モノのインターネット」(IoT)に使われることが期待され、国も「戦略目標」のひとつに掲げている。

配管の水・東京タワーの電波も活用

 関東地方にある鉄道の鉄橋で試験中の異常監視のセンサー。電源は列車が鉄橋を通過するたびに起きる1秒間に約70回の振動で発電した微弱電流だ。鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)が開発した発電装置は8センチ角の特殊なセラミックスで、振動で圧力がかかると電流が流れる。

 小林裕介主任研究員によると、従来の点検は足場を組んで作業員が目視で行うため手間がかかった。通常のセンサーを置いて電線を張ると費用がかかる。振動発電は手軽で半永久的に発電できるという。小林さんは「1年半先をめどに実用化したい」という。

 立命館大の酒井達雄特任教授は、滋賀県草津市のキャンパスにあるビルに貯水タンク(容量4立方メートル)を置き、建物の配管を流れる水での発電を研究中だ。

 空間を伝わる電波も活用できる。東京大の川原圭博准教授は、地上デジタルテレビの放送用電波を東京タワーから約7キロ離れた東大本郷キャンパスで受信し、100マイクロワット(マイクロは100万分の1)の電力に変換した。家電から漏れる極めて微弱な電磁波にも着目。電子レンジから5センチに置いたアンテナを通じて0・54ミリワットの電力を取り出した。

 電波や振動で発電する原理はよく知られていたが、得られる電力がマイクロワット~ミリワット程度と微弱で使われてこなかった。だが、「技術の発展でセンサーや無線機器の消費電力が下がり、実用化の道が広がってきた」と環境発電に詳しいNTTデータ経営研究所の竹内敬治シニアマネジャーは指摘する。「身の回りに膨大な数の小さなセンサーを置き、その情報を集約、健康や医療、インフラの検査などに活用することが期待されている」

 昆虫や動物を使った発電も研究が進む。大阪大の研究室(大阪府吹田市)はマダガスカルオオゴキブリの体液中の糖分を元に電気を作ることに成功。ヒトの体液でも発電は可能といい、日本学術振興会特別研究員の庄司観さんは「将来的には体内で半永久的に動くペースメーカーや医療機器の電源に使いたい」と話す。

■成長予想、国の戦略…

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