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 三重県がいなべ市で捕獲したクマを滋賀県多賀町に放した問題で、伊賀市の岡本栄市長は17日、クマを捕殺する三重県の方針に反対する手紙を鈴木英敬知事に宛てて送ったと明らかにした。会見で「命に慈しみを持つことは行政を進める上で大事なこと」と話した。捕獲して飼育するか、人に危害を与えない場所に放つべきだとの考えを示した。

 手紙は「絶滅危惧種とされる小さな命への思いやりを示すことも知事への信頼と共感を呼ぶものと思います」「より柔軟な幅広い選択肢を考えるのが大事では」としている。

 岡本市長は今月5日に県の担当部署に電話をかけて捕殺の方針に抗議した。これが一部で報道されると、賛同するメール、電話、はがきが計8件寄せられたという。こうした反応を受けて、改めて知事に手紙を出すことにしたという。

 この問題では、三重県内に住む74人が、クマの捜索費用の支出は違法だとして住民監査請求をしている。代理人の石田達也弁護士は「鳥獣保護法や県の要領では、希少種は原則、殺傷を伴う許可はできない」と話す。多賀町で5月27日に女性(88)を襲って大けがを負わせたクマと、三重県が5月17日に捕獲して発信器をつけて放ったクマの関連性は極めて薄く、人身被害の恐れについて根拠がないとも主張している。

 三重県は、多賀町の現場に残っていた動物の体毛と、現在追っているクマの血液のDNA鑑定を依頼しているが、仮に別の個体であっても捕殺する方針。鈴木知事は15日、「関係市町でよく協議してもらい、それを踏まえて対応する」と述べた。いなべ市に出した1カ月の捕獲許可期間を延長する考えを示した。

 発信器をつけたクマはこれまで、いなべ市と岐阜県の大垣市、海津市、養老市にまたがる山中を行ったり来たりし、17日午後5時現在、大垣市上石津町の山中にいる。