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 UFOや超能力、怪奇現象をあしらった「オカルトかるた」が評判だ。ファッションやテレビ番組でもオカルトが受けている。1970年代にあった熱気の再来だろうか。

 「あ」から「ん」まで46枚の絵札には、言葉はない。読み札の文章から連想して取る仕組みだ。その世界観は独特だ。

 【し】縄文時代の宇宙飛行士→遮光器土偶

 【せ】世界統一をたくらむ秘密結社→イルミナティ

 【と】時をかける伯爵→サン・ジェルマン伯爵

 【に】2本の角があるネス湖の怪獣→ネッシー

 オカルト雑誌の草分けとして知られる、月刊誌・ムー(学研パブリッシング発行)の「公認かるた」だ。79年に「異星人は敵か、味方か?」という総力特集で創刊して以来、ムーは「世界の謎と不思議」に挑み続け、現在も月6万部以上発行。絵札も、誌面に使われた秘蔵の写真やイラストが使われている。

 仲間とかるたを楽しんだ神奈川県相模原市の男性会社員(35)は「読み札を聞いても、絵札がまったく想像できない」。ゲーム中はお手つきを連発。正しい絵札をとっても、なぜ正解なのかわからない。絵札の裏にある解説を読んで納得することもあれば、さらに訳がわからなくなることも。1ゲームに50分ほど費やしたが、「ムーの『うさんくささ』がそのまま凝縮されていて、面白かった」と笑う。

 かるたをつくったのは、ムー編集部の望月哲史さん(38)。「目に見える事象と解釈のズレ」というオカルトの魅力をかるたに込めた。「そんなのしらねぇよ、と突っ込みながら遊んでほしい」。自主事業で500セットをつくり、一つ2160円(税込み)で5月からネットや一部の書店で売り始めた。10月にはUFOとエイリアンに絞った新作を発売する予定という。

 オカルトが脚光を浴びたのは、いまから40年ほど前のこと。ノストラダムスの大予言、宜保(ぎぼ)愛子、スプーン曲げ、ツチノコなどの未確認生物……。70年代には、関連のテレビ番組や書籍の発売が相次いだ。ブームは2000年代にしぼんだが、「数年前から再びオカルトが注目されつつある」と望月さん。

 民放でUFOや超常現象を扱う番組が増え、3年前には「12年12月に人類が滅亡する」というマヤ暦をめぐる予言が、メディアで取り上げられた。予言は外れたが、本気で怒る人は少なかったと感じた。「オカルトが『ネタ』として受け入れられ、消費されるようになった」

 オカルトは、ファッションでも広がっている。ナスカの地上絵の刺繡(ししゅう)を背中にあしらった「ナスカジャン」。アパレル製造販売「ハードコアチョコレート」(東京都中野区)が発売すると、若者が飛びついた。「カジュアルに着こなせると人気です」と店員は言う。

 70年代との違いは何か。「エンターテインメントとしてのオカルトです」。オカルトに詳しい作家の山口敏太郎さん(49)はこう表現する。95年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を機に、超常現象を学術的に紹介する手法が広がり、昔のように妄信的なのはダサいと受け止められるようになったという。「そもそもいまの20~40代は、オカルトに対して懐疑的」と指摘する。

 とはいえ、UFOもノストラダムスも、いまも本気で信じている人は少なからずいるという。「オカルトは社会の潤滑油だが、危険性を伴う『劇薬』でもある。そう理解して楽しんでほしい」(北林慎也、吉浜織恵)

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