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 京都大は22日、大腸がんを引き起こす炎症のカギとなる分子を特定したと発表した。発がん物質を与えたマウスでこの分子の働きを抑えると、がんをほとんど発症しなかった。新たながん予防薬の開発につながる可能性がある。

 大腸がんは、がんによる死亡率では女性で1位、男性で3位。がんは体内で炎症が起きると、がん細胞の増殖を促す分子などが放出され、発症につながると考えられている。解熱鎮痛剤のアスピリンが大腸がんを予防する効果があることが確認されているが、炎症を抑える仕組みは不明で、飲み続けると胃腸で出血するなどの副作用も課題だ。

 京大医学研究科の成宮周特任教授らは、マウスで「EP2」という情報伝達役の分子が大腸で炎症を増幅させることを確認。大腸がんを起こす化学物質を飲ませたマウスに、EP2の働きを抑える化合物を80日間与えると、ほとんどがんが生じなかった。

 EP2は、アスピリンが体内で働く複数の経路のうちの一つで情報伝達を担っており、成宮さんは「EP2だけを抑えてやれば、より安全で高い予防効果が期待できる」と話す。成果は米科学誌キャンサーリサーチ電子版に掲載された。(阿部彰芳)