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 捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末をひそかに取り付ける捜査は「重大な違法」とされた連続窃盗事件の判決が10日、大阪地裁であった。長瀬敬昭(たかあき)裁判長は、令状なしのGPS捜査は「職務犯罪となるほどではない」と述べ、刑の重さには影響しないと判断。窃盗などの罪で懲役7年を求刑された自営業、岩切勝志被告(44)=大阪府門真市=に懲役5年6カ月を言い渡した。

 判決によると、岩切被告は知人3人とそれぞれ共謀。2012年2月~13年9月の未明、大阪や兵庫など6府県で事務所荒らしや車両盗を続け、計416万円相当の金品を盗んだ。

 大阪府警の捜査員は被告らの関係車両19台にGPS端末をひそかに取り付け、追跡捜査をした。長瀬裁判長は先月、GPS捜査は大きなプライバシー侵害を伴い、裁判所の許可令状を取らずに遂行したのは「重大な違法」として、捜査資料の一部を証拠採用しない決定をした。

 弁護側は「将来の違法捜査を抑制すべきだ」と公訴棄却を主張。たとえ有罪でも違法捜査の事実を量刑に考慮しなければ警鐘にならないと訴えたが、長瀬裁判長は「すでに証拠の相当数を却下した。刑を軽くすることが正義や公平にかなうとも言い難い」と指摘。常習性のある犯行を重くみて実刑を選択した。(阿部峻介)