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 平和への思いを詠んだ短歌コンクール「八月の歌」(朝日新聞社主催、岐阜県高山市共催、高山市教育委員会後援)の入選10首と奨励賞が決まった。表彰式は8月1日に高山市で開かれる。

 今年で7回目。一般の部には海外を含む1012首、中学・高校の部は2134首の合わせて3146首の応募があった。フランスで平和活動に取り組む歌人、美帆シボさんが選考した。

 入選作は次の通り。(敬称略、50音順)

 【一般の部】

銃と違えカメラに向かい諸手(もろて)上ぐシリアの幼の眼差(まなざ)し悲し

(岐阜市)犬飼順子

入念にわが整備せし零戦にて学友(とも)は征(い)きたりそして還(かえ)らず

(神奈川県鎌倉市)宇津井寛

征(ゆ)く日までひたすら描きし恋人は未完のままに今も微笑(ほほえ)む

(愛知県岡崎市)治々和洋子

八月の慰霊の旅や時を背負い重き歩行の古老の姿

(高知県須崎市)野中泰佑

漆黒の闇の中にて死せる子の顔撫(な)で見えぬ顔を見つめる

(名古屋市緑区)山口喜久枝

 【中学・高校の部】

どこへ行く寄せては返す沖縄の海の波間に揺れる憲法

(愛知県・名古屋高1年)伊藤颯基

病院のベッドの祖父は認知症誰彼無しに敬礼をする

(愛知県立幸田高3年)大橋佳歩

雨の中聞く語り部の体験に制服よりも心が濡(ぬ)れた

(岐阜県立加茂高2年)近松温志

メイド・イン・ジャパンの誇る九条を重荷とともに引き継いでゆく

(北海道・立命館慶祥中1年)早坂日花

長崎の町なみ消した原爆の熱さを語る一枚瓦

(大津市立打出中3年)藤田勝

 奨励賞は次の通り。(敬称略、50音順)

 【一般の部】

戦争を知らぬ児童ら祈るなり模写したる黒白の「ゲルニカ」

(兵庫県篠山市)青木信

負の遺産伝えるものは負にあらずつなげ続ける平和の祈り

(岐阜県高山市)阿部幸治

りんごひとつ届くを待たず四歳の弟逝きぬ終戦の冬

(岐阜県恵那市)石田永美子

幸運な世代と後に言われるか戦争を知らぬ我ら団塊

(山口市)大谷泰子

父母は突如声上げチョソン語を話し始めき遠き八月

(大阪府忠岡町)金忠亀

ピカドンの黒き記憶を辿(たど)る糸を白き心に紡ぐ語り部

(岐阜県高山市)小谷史征

三角定規の銃を構へし二歳児に伝へていかむ戦の惨禍

(岐阜県高山市)小林伸子

挙手をして少年兵が征(い)きし駅に今日甲子園の球児見送る

(千葉県銚子市)小山年男

七十年経て怨念の漂へる収容所跡に咲きし雛菊(ひなぎく)

(ドイツ)シュレーダー美枝子

これからは「殺し殺される」かもしれぬ自衛隊員の家族の不安

(岐阜県高山市)広瀬正男

夫(つま)征(い)きても供出米を出さむとて月の明かりで稲刈りていし

(岐阜県高山市)堀甲枝

訪ね来てわが択捉島(えとろふ)の幻の砂丘となりし村跡に佇(た)つ

(神奈川県相模原市)三上洋一

日の丸を見るたび兵隊を思い出す我が亡き師匠は沖縄生まれ

(横浜市金沢区)水谷亮介

草木さえ生えぬと言われたこの街でシロツメクサの飾りを編んだ

(広島県東広島市)山下留美

焼け跡に芽吹きしアオギリ根を張りて今は平和の大使となりぬ

(岐阜県高山市)横山清子

 【中学・高校の部】

校内に飾られている戦争旗汚れ具合は消えてはいない

(愛知県・名古屋高1年)家田翔

バクダンを白球に替え投げ飛ばす戦地の跡の野球場

(北海道・立命館慶祥中1年)石崎純一朗

その一歩生死のかかるサバイバルどこかへ消えた私の片足

(岐阜県・高山西高2年)上田奈々

国のため勝利を願いて離陸する命という名の爆弾載せて

(愛知県立明和高1年)内田鈴菜

戦争で亡くなったのはヒトだけか弔え他のイキモノ達も

(岐阜県高山市立丹生川中3年)大坪太陽

貴方の側(そば)に行く方法を探しつつ慰霊碑に刻まれた名をなでる

(岐阜県立飛驒神岡高3年)尾上実梨

憎み合いいがみ合ってるこの時代「WAR」から「和」へ「WAR」から「輪」へ

(京都府立南丹高3年)片山竜馬

殺さねば殺したくない殺さねば俺にも敵にも愛する人が

(岐阜県高山市立丹生川中3年)葛谷錬

出撃前意志の強さを語らんと悲しいまでに達筆な文字

(愛知県立明和高2年)小林直幹

年老いた語り部引き継ぐ若者に資格がないと誰が言えよう

(岐阜県・美濃加茂高2年)近藤宏美

学校に行きたいけれど戦のために働きつめる小さな手たち

(岐阜県高山市立宮中3年)清水遥花

過ちを繰り返さないと言ったのに何をしている今の日本

(岐阜県高山市立清見中3年)砂留健太

青空へはばたく蝶(ちょう)の形して悪魔となれりオスプレイたち

(茨城県立結城第二高3年)高木春香

この下にもしも地雷があるのならだれか私を宙に浮かせて

(岐阜県高山市立国府中1年)田中真緒

原爆が来るわけないと思ってる今の平和は本物なのか

(岐阜県高山市立丹生川中3年)月出千晴

原爆で止まったままの腕時計刻み始めよ平和の時間

(岐阜県高山市立朝日中3年)永瀬智之

慰霊碑の数の多さに立ちすくむ人これほどに焼けて消えしか

(岐阜県高山市立朝日中3年)永橋美香

砂時計ぼんやりながめ時は経ち出兵へのカウントダウン

(静岡県立島田高2年)中村安奈

ラジオから偽りの戦果聞かされて喜ぶ人々死にゆく兵士

(岐阜県高山市立丹生川中1年)中村元希

流れ星夜空に光る遠き日の防空壕(ごう)よりのぞきたる子

(岐阜県高山市立宮中3年)幅上翔太

被爆者の思いを語る若者はこれからの未来引き継いでいく

(岐阜県高山市立丹生川中1年)松葉優依

平和という小さな灯(ともしび)手にあるも消えぬほどなり小さくてあり

(岐阜県高山市立朝日中3年)溝脇光貴

土におう闇に吐息のガマの中母と子の握りしめられた掌(て)

(岐阜県立飛驒神岡高2年)森夢加

仏壇で木魚を鳴らし詣(まい)る祖父強くたたきし八月六日

(岐阜県立飛驒神岡高3年)森田有紀

負けいくさ知らぬ世代が戦争を論じる上にはまず反省を

(岐阜県・高山西高3年)森本和志

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