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 「嫌韓」「嫌中」の本が書店の棚にずらりと並ぶ。そんな風潮に一石を投じようという動きが書店や出版関係者の中で続いている。大阪市の大手書店には、隣国へのバッシングやヘイトスピーチを批判する「反ヘイト本」の常設コーナーが登場した。

 ジュンク堂書店難波店(大阪市浪速区)。5月下旬、相続税の本を並べていた一角を反ヘイト本のコーナーに変えた。排外主義を取材してきたジャーナリスト、安田浩一氏の新刊「ヘイトスピーチ」、編集者やライターが嫌韓・嫌中ブームが起きる出版業界の事情を書いた「さらば、ヘイト本!」など26冊が平積みで売られている。

 立ち寄った同区の物流会社員の男性(44)は「自分に強い主義主張はないが、偏りたくない。この機会に色んな考えの本を読みたい」と話した。

 設置を決めたのは福嶋聡(あきら)店長(56)。「市場原理に任せて隣国への憎悪をあおる本を並べていることに違和感があった」と話す。

 つきあいのある作家には在日コリアンも多い。通っていた神戸市垂水区の中学校のすぐ近くに朝鮮学校があり、友人もいた。嫌中・嫌韓本ブームに「なぜ国籍だけで攻撃するのか、素朴に分からなかった」。

 コーナー新設のきっかけは、昨年12月から今年2月まで「店長本気の一押し」の棚に反ヘイト本12冊を並べたことだ。「なぜ中国や韓国の肩を持つのか」「ヘイト本と決めつけることこそヘイトスピーチだ」という電話がかかってきた。売り上げも安定しなかった。

 それでも、「ヘイト本も反ヘイト本も、常に目に見える形にし、両方の立場をお客さんに意識してほしい」と常設コーナーにすることを決めた。嫌中・嫌韓本より出版数が少なく、売り上げも良くない反ヘイト本は、放っておけば店頭からほとんど消えるからだ。

 コーナーには、嫌韓デモを繰り返してきた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠・前会長の「大嫌韓時代」も置く。「書店は主張や事実をまんべんなく並べ、争点や問題点が見えるようにする場所。排除する所ではない」という思いからだ。

 このようなコーナーを設ける書店はまだ少ない。

 東京都内のある大型チェーン書店では、嫌中・嫌韓本でも反ヘイト本でも、店頭に並べると頻繁に抗議電話がかかってくる。「なんであんな本置いてんの? 何があっても知らないよ」と脅しの電話がかかってきたときには、警察に相談した。広報担当者は「波風を立てて刺激したくない」と打ち明ける。

■出版側もイベントや…

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