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 国会で審議が進む安全保障法案に対し、主要な経済団体は支持する考えを表明している。経済界が「集団的自衛権」を支持するのはなぜか。それは正しい進路なのか。日本総合研究所理事長の寺島実郎さん(68)に、経済界の思考の「源泉」と「変遷」についてきいた。

――経済界で集団的自衛権の行使容認を求める声が多いのはなぜでしょうか。

 根っこには「湾岸トラウマ」がある。1990年に湾岸戦争が起きたとき、日本は130億ドルも出したのに評価されなかった。これに対し、現場で汗をかき、さらに関与を深めるべきだという意見が経済界でも盛り上がった。

 冷戦が終わり、日米安保のあり方を問い直すべき時期でもあった。そこで在日米軍基地が削減されると困る「安保マフィア」と呼ばれる人たちが集団的自衛権を持ち出した。日本は守ってもらうばかりで、日米安保は片務条約だと言い出した。

 米国と接する機会が多い人ほど、そういう空気にさらされる。生真面目な財界人は「国際社会で応分の役割を果たすべきだ」と考え、それが集団的自衛権に形を変えてきた。

 それは「軍事の誘惑」でもある。実際、2001年に米国同時多発テロが起き、逆上したブッシュ政権がイラク戦争に突き進んだ。日本は米国から「ショー・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と要求され、国際貢献と対米支援を交錯しながら自衛隊派遣へと踏み込んだ。

――国際貢献や日米安保の維持には、集団的自衛権が必要ですか。

 集団的自衛権は、西側陣営の一翼として団結して向き合おうという冷戦時代の論理だ。日本は米軍基地の経費の7割も負担しているため、本来であれば、現状の役割はストレスを感じる中身ではない。だが、日本人には戦後ずっと米国に守られて豊かになったというコンプレックスがある。それが日本も世界の平和に貢献しないといけないとの論理に発展し、集団的自衛権の行使容認への意識にもつながった。

 米国の防衛官僚からすれば、7割も経費負担してもらえる在日米軍は本土よりコストが安く、なるべく長く置いておきたい。日本が集団的自衛権は無理、せめて基地の負担だけは続けると落ち着けばそれでよかった。しかし、日本が集団的自衛権の行使容認に踏み込んだため、ワシントンでの議論も変わってきた。

 米中関係をみるといい。双方にとっては、今は米中戦争を避けることが最大の重要課題だ。昔は日本が米国の戦争に巻き込まれるのを恐れたが、今は米国が日中紛争に巻き込まれるのを避けている。日本を見捨てる気もないが、中国と戦う気もない。双方を大事にして影響力を保つ戦略で、経済人にはその変節に気づいている人もいる。

――00年代前半には、主要な経…

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