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 31日午後5時40分ごろ、北海道苫小牧市の南約55キロの太平洋で、商船三井フェリー(東京都)のカーフェリー「さんふらわあ だいせつ」(1万1401トン)で火災が起きた、と第1管区海上保安本部(北海道小樽市)に通報があった。乗客乗員計94人のうち乗客71人全員が救命艇で避難したが、乗員1人が行方不明となった。

 1管や同社によると、行方不明になっているのは、2等航海士の織田(おりた)邦彦さん(44)。甲板に積まれたトラック付近から出火した後、消火に向かい、トランシーバーで「黒煙がひどくなり、周りがまったく見えなくなった」と交信したまま戻らなかったという。

 乗客らは近くを航行していた別のフェリーなどに救助され、苫小牧港に午後10時ごろ到着した。坂上幹郎船長(58)を含む乗員22人も午後9時ごろまでに避難した。1日午前0時現在、船尾付近から煙が上がり、消火活動が続いている。

 フェリーは甲板が5層あり、下部の3層が車を載せる甲板で、トラックやトレーラーの荷台部分など160台の車両が積まれていた。乗組員が31日午後5時15分ごろ、下から2層目の中央付近から出火したのを発見。スプリンクラーを作動させ、複数の乗組員が消火器やホースも使ったが消しきれず、午後6時に船長が総員退避を指示した。午後6時15分ごろ救命艇4艇が海面に下ろされ、上部2層にいた乗客が避難した。

 出火したのは、冷凍機を積んだトラック付近で、航行中は通常、甲板は施錠されているという。織田さんは10年以上の乗船経験があり、消火の指示を出す立場だったという。

 フェリーは31日午前1時45分に茨城県・大洗港を出発し、同日午後7時45分に苫小牧港に到着予定だった。出火後、現場海域で航行を停止。海保の巡視船艇や航空機に加え、近くを航行中の民間船9隻が消火や救助にあたった。国の運輸安全委員会は、事故調査官5人の派遣を決めた。

 乗客がフェイスブックに午後6時半ごろ投稿した写真では、救命胴衣を着た数十人が甲板に集まり、船体から黒い煙が出ていた。

 同船は旅客定員154人で、乗用車62台、大型トラック160台が積載できる。

 1管によると、現場は午後7時10分現在、曇りで風速10メートル、波の高さは1・5メートルだという。