[PR]

 虐待や貧困などで実親と暮らせない子どもを家庭で預かる「里親制度」をめぐり、里親と行政との間でトラブルになるケースが各地で起きている。厚生労働省は里親による養育の増加を目指し、里親の支援拡大も進めるが、関係者からは抜本的な対策を求める声も出ている。

「突然引き離され、精神的苦痛」

 山口県内の児童養護施設にいた小学2年生の男児は2006年、同県長門市の50代の夫妻の里子になった。夫はこの施設の施設長や児童相談所(児相)の職員、妻はソーシャルワーカーなどの経験があり、虐待された経験や障害などで特別な支援が必要な子どもを育てる「専門里親」に登録されていた。

 夫妻によると、男児は実家庭で虐待を受け、人との適切な関係を形成しづらい「愛着障害」があった。夫妻宅に来てからも、暴れたり自傷行為をしたりしていたが、徐々に落ち着いてきていたという。

 男児が6年生になった10年10月、萩児童相談所が男児を夫妻宅から施設に一時保護した。男児が学校でいじめにあっていると訴えており、男児の気持ちをきちんと聞いて対応したいというのが理由だった。だが、そのまま男児を別の施設に移すため、里親委託が解除された。

 夫妻は11年、男児を突然引き離され、精神的苦痛を受けたとして、山口県を提訴。「委託を解除するほど関係が良くないと判断する十分な調査がされていない」「解除の理由説明が不十分だ」などと主張し、損害賠償を求めた。

 これに対し、県は委託解除の理由について「男児は学校で同級生と問題があり、専門の施設に転校させる必要があった」「里親と里子の関係がうまくいっていなかった」などと主張。男児と学校への聞き取りや、男児が実母に「(実家庭に)帰れないなら死にたい」と手紙を書いていたことなどが判断材料になったと説明した。

 山口地裁の判決は今年4月。桑原直子裁判長は「児相は男児が家出などの危険な行動を取る前に緊急対応が必要と判断した。合理的で裁量権の逸脱はない」「委託解除の理由は里親も認識していた上、解除時に男児と里親が共に関係を振り返ること自体難しかった」などとして、訴えを退けた。

 夫妻は判決を不服として広島高裁に控訴。妻は「4年も一緒にいたのに、突然連れて行かれて会えなくなってしまった。荷物も置きっぱなしで、さよならも言えなかった」と無念そうに語る。

■児相に不信感、国は相談…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら