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 靴チェーン店「ABC(エービーシー)―MART(マート)原宿店」が従業員に月100時間ほどの残業をさせたなどとして、東京労働局は2日、運営するエービーシー・マート(東京都渋谷区)や同社の取締役らを労働基準法違反(長時間労働)の疑いで東京地検に書類送検した。働きすぎを防ぐため、国は対策班を立ち上げて捜査を強化しており、対策班初の書類送検となった。

 発表によると、原宿店は昨年4~5月、20代の従業員2人に、それぞれ月109時間と月98時間の違法な残業をさせた。店では労使協定で「残業は月79時間まで」と定めていた。

 エービーシーが運営する「Grand(グランド) Stage(ステージ)池袋店」でも同時期、20代の従業員2人に、月112時間と97時間の違法な残業をさせた疑いがある。この店では残業についての協定がなかったという。

 東京労働局によると、閉店後の店内レイアウト変更や、週末のイベント準備が長時間労働につながっていた。エービーシーでは過去にも違法な長時間労働をさせる店があり、労働基準監督署が指導してきたが、昨年のような事例があったため、書類送検に踏み切ったという。

 近年、働き手を酷使する会社を「ブラック企業」と呼んで問題視する風潮が高まっている。厚生労働省は4月、地域の労基署とは別に広域事例などに対応する「過重労働撲滅特別対策班」を東京と大阪の労働局に新設。労基署から企業の労働時間について情報を集め、広く活動する企業に違法な長時間労働がないか調べを進めている。

 エービーシーは全国約780店舗を展開する靴チェーン大手。同社によると、東京労働局からの指導を受けて昨年8月に労務管理を見直すなど残業時間削減に取り組み、「すでに全店舗で違法な長時間労働を解消した」としている。過去にほかの店でも違法残業の指導を受けていたことは認めているが、内容は明らかにしていない。(末崎毅、岡林佐和)