[PR]

 自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」は、メディアを威圧する発言が出席者から相次ぎ、厳しい批判を浴びた。だが、そもそもは、文化人や芸術家を自陣営に引き込み「政策を芸術の域に引き上げる」ための勉強会だったという。文化や芸術が政治と結びつくことに、どのような「価値」があるのか。

 今回の懇話会で講師を務めたのは、放送作家としてバラエティー番組「探偵!ナイトスクープ」を手がけた作家の百田尚樹氏だった。同会の関係者は「シナリオライターとして画面の向こうの視聴者に働きかけるテクニック」を学ぶために招いたという。設立趣意書によると、「心を打つ『政策芸術』を立案し実行する知恵と力を習得する」ことが会の目的だ。

 「この政策芸術という言葉を聞いた瞬間に、アウトだと思った」と言うのは、文化批評にも定評のある千葉雅也・立命館大学准教授(哲学・表象文化論)。国が特定の価値観に基づく芸術文化を推進してはいけないことは「文化史の常識」だが、「政権側の人たちは、そうした常識に抵抗したいのではないか。ナチス・ドイツがモダンなものを『退廃芸術』と呼んで排除し、保守的でわかりやすいものを推進したことを想起させる」と話す。

 ナチスは国民の支持を得やすい政策的主張や政治手法を徹底的にマーケティングした。そして、その調査の「成果」を、文化・芸術の観点から、言葉の選択や演説方法、旗や制服のデザインなどにまで反映した。「『ユダヤ人が悪い』といった極端に単純化された政治的スローガンもそうした手法から生まれた」。音楽や文学に造詣(ぞうけい)が深い片山杜秀慶応大学教授(政治思想史)は言う。

 戦後は価値観が多様化し、多くの情報が手に入るようになった。成熟した民主主義社会では、宣伝技術で政治を単純化する手法は通用しないと考えられてきた。だが21世紀になって、再び力を得ようとしているのではないかと片山氏はみる。

 経済や自然科学など多くの分野で学問は細分化し、誰もが専門分野以外の領域を理解することが難しくなった。「過剰な情報の中で人の判断力は相対的に落ち、誰もがわかりやすさを求めている。『政策芸術』はそんな時代にはぴったりだ」

 では、文化人や芸術家は、どのように政治とつきあうべきなのか。

 鳩山由紀夫政権などで内閣官房…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

こんなニュースも