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 「多数決」は民主的な決め方とされてきたが、その問題点をとらえ直そうとする漫画や評論の刊行が相次いでいる。折しも、安全保障関連法案は週内にも衆議院で採決される公算大だ。異なる意見を取り入れながら物事を決めるにはどうしたらいいのか。

 「主人公」は人間そっくりの女性アンドロイド。体にはカメラが埋め込まれ、オンライン中継されている。彼女の行動は、ネット上に集まった人たちの「多数決」が決めていく。

 雑誌「ビッグコミックスピリッツ」の漫画「デモクラティア」の設定だ。彼女を製作した技術者は言う。「動かしているのは、ネットを介して集められた“人類の英知”そのもの…だとすると…それは人間よりも人間的に正しい」

 作品が生まれたきっかけは、ネット世論が旧体制の崩壊につながった「アラブの春」だった。縁もゆかりもない数の力が世界を変えた。それを目の当たりにし、作者の間瀬元朗さんは「多数決」の問題を考えるようになったという。

 作中、多数決への不安がにじむ場面がある。ネット世論の決めたアンドロイドの行動が、人の死の遠因になってしまうのだ。「集団の熱狂は簡単に一線を越える。多数決が正しいと言い切っていいのか、という考えを投影しました」

 多数決こそ民主的な仕組みと考える人は多い。「選ばれた私の言うことが民意」と言う橋下徹・大阪市長はその典型例だろう。

 慶応大学の坂井豊貴教授(社会的選択論)は、多数決の結果ばかりが重視される状況に危機感を募らせ、『多数決を疑う』(岩波新書)を4月に刊行した。「無邪気に多数決をありがたがるのは、ただの多数決主義。『私たち』をどうにか尊重しようとする民主主義とは違う」

 そもそも「民意」は選び方次第で変わる。

 例えば有権者21人がA、B、Cの政策のどれかに投票するとする。結果はA8票、B7票、C6票。多数決ならAが集団を代表する意見になる。

 だが、Aに投票しなかった全員が「Aだけは嫌だ」と考えていたとする。Aの否定派が13人と過半数なのに、採用されるのはAだ。全員から2番目に支持されても、1票にもならない。「だから多数決で勝つためには、万人に配慮してはいけない。誰かをたたいて対立構図を作った方がいい」

 日本政治が多数決主義に傾いた…

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