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 母(86)からの電話が頻繁にかかってくるようになったのは昨年末からだ。「ふとんの中に人がいるの。助けてー」

 東京都北区の理髪店経営の男性(60)は深夜の電話に起こされ、「またか」と思いながら、近くのマンションに向かった。母は父が亡くなってから20年ほど一人暮らしだ。

 家の中は大荒れ。食器は割れ、床に服が散乱していた。きれい好きだった母の部屋とは思えなかった。

 「大丈夫、だれもいないよ」。母をなだめて寝かせるが、1時間もしないうちに「助けて」が始まる。何度も繰り返し、明け方まで続いた。男性は重い体のまま家に戻り、店を開けた。

 昨秋、母は「虫がたくさんいる」など、実際にはないものが見える幻視を口にするようになった。後に認知症の一つ、レビー小体型と診断された。幻視は典型的な症状だ。認知症の人の2割がこのタイプだとみる専門家もいる。

 症状の悪化とともに、電話の回数は増えた。母宅の電話の履歴には、110番も並んでいた。「警察にまで迷惑をかけられない」。同じ区内に住む兄と交代で母宅に泊まることにした。

 兄も仕事を抱えており、介護との両立はすぐに限界が来た。男性は年明けに過労で体調を崩し、店を一時閉めた。「このままでは共倒れになる」と悩み、施設への入所を考え始めた。

 その矢先だった。今年3月、男性が訪ねると、母は倒れて意識を失っており、救急搬送された。転んで頭を打ったようだったが、けがは軽く、認知症専門のクリニックに移された。5月下旬には、運良く療養ベッドがある一般病院に移れた。ただ、「入院できるのは3カ月と思ってください」と言われた。

 母は症状が出ると、棒を持って…

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