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 狩猟とは無縁だった警備会社や建設会社がイノシシやシカの捕獲に乗り出そうとしている。鳥獣保護法が改正され、新たに認定鳥獣捕獲等事業者の仕組みができて門戸が広がった。鳥獣被害が増えるが、高齢化で狩猟者は減り続けている。企業は国や自治体の膨らむ対策予算に事業拡大の機会をねらう。

食害の急増が背景

 神奈川県小田原市の郊外の果樹園。軽トラックが道幅の狭い急な上り坂を進む。運転するのは、警備会社ALSOKの社員だ。

 見回るのは家や事務所ではなく、鉄製の箱わな。獲物のイノシシがかかっていないか確認する。餌をまき、わなが動くかをチェック、周辺に動物の足跡がないかも探した。30分ほどで作業を終え、別の場所に仕掛けたわなに向かった。

 わなが設置されている「秋澤マルミ農園」では、ミカンの年間生産量約30トンのうち、1トン近くがイノシシの被害に遭う。畑のカボチャやジャガイモなども掘り起こされた。年間数十万円の被害額になる。

 秋澤雅美さん(57)は「昨年被害が急増した。低い枝のミカンはほとんど食べられてしまう。果樹園はいくつもあって面積も広く対応しきれない」と話す。

 ALSOKのグループ会社の神奈川綜合警備保障(横浜市)は2年前、狩猟チームを立ち上げた。社員が狩猟免許を取り、昨夏から個人として地元から捕獲許可を受け、シカなどを捕らえている。

 5月末、改正鳥獣保護法の施行を受け、認定鳥獣捕獲等事業者の申請受け付けが始まった。環境省によると、7月9日までに群馬と長野の両県で2業者が認定事業者になった。6月末までに、東京、大阪、愛知、福岡など35都道府県で約80団体が申請中または、認定に向けた事前の相談を寄せているという。

 ALSOKでは、神奈川と千葉のグループ会社で認定を申請する予定だ。ALSOK営業推進部の福田貴一課長は「高齢者宅や空き家の見回りと捕獲事業を組み合わせれば、事業として成り立つ」とみる。

 5月、東京都内で開かれた環境省の講習会に様々な業種の会社が参加した。大面建設(甲府市)は10~15人の担当者を配属し、わなの設置、獣の運搬などで重機を使うことを想定している。加藤寿之専務は「狩猟に付随する作業は建設業に一日の長がある」と話す。

 講習会には、食肉加工業者も参加していたという。「ジビエ(野生鳥獣の肉)への関心の高まりも背景にあるかもしれない」(環境省野生生物課)という。

 野生動物の捕獲を専門とするNPO法人「若葉」(静岡市)も認定を狙う。40年以上の経験を持つハンターや射撃競技の国内トップクラスの実績があるメンバーら約10人が在籍する。早川五男副理事長は「すでに複数の自治体から捕獲指導のオファーが来ている。認定されれば入札に参加しやすくなる」と話す。

 一方、これまで捕獲事業を担ってきた大日本猟友会の受け止めは冷静だ。各都道府県の猟友会に認定を受ける手続きを進めるよう呼びかけている。今後も事業を担えるよう体制を整えていくという。担当者は「経験がない人が捕まえようとしても簡単にはできない。猟友会にはキャリアのある人が多数いる」と話す。

■高齢化でハンタ…

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