[PR]

さまよう聖地 新国立のゆくえ(下)

 東京都港区にある日本スポーツ振興センター(JSC)3階の新国立競技場設置本部は、深夜まであかりが消えない日がつづく。

 7日の有識者会議で2520億円に膨らんだ計画にゴーサインが出てからも、職員は連日、国会答弁の準備に追われる。8日午後は抗議電話が殺到し、7本の電話回線がふさがった。「終電で帰り、風呂でも入って出直して来いとは言うんですが。徹夜する職員もいます」。高崎義孝・総務部運営調整役はいう。

 大成建設との最初の契約(約33億円)がまとまった9日も、鬼沢佳弘理事らが参院の文教科学委員会に呼ばれ、野党議員から計画のずさんさを糾弾されつづけた。「財源確保の見通しはあるのか?」「今、契約してはダメだ」。紆余曲折(うよきょくせつ)の末に出港したはずの船が、猛烈な逆風を受けて座礁しているように映る。

 2012年ロンドン五輪の主会場の4倍近いともされる建設費を押し上げるのが、コンペで採用されたザハ・ハディド氏のデザイン。なかでも、「キールアーチ」と呼ばれる巨大なアーチ2本で屋根を支える構造が批判を浴びる。ハディド氏には「前例」がある。同じく、曲面を生かした独特のデザインをしたロンドン五輪の水泳会場は、当初見込みの7500万ポンド(約140億円)から、3倍以上に膨らんだ。

 新国立の内情を知る大手ゼネコン幹部は予見する。「工期に余裕は一切ない。一度でも天変地異が起きれば、間に合わなくなる可能性がある」。大雪や台風などが工事の行く手を阻むリスクがあるという。なかでも、キールアーチは「建築というより土木の分野に近い。前例がない工事で見通しが立てづらい」。橋を支える構造として用いられるこの工法が、これほど巨大なスタジアムの屋根を支えるために使われた例は、世界的にもまれだという。

 工事はスタンド部分を大成建設、屋根部分を竹中工務店が担当する予定だ。旧国立競技場を施工した大成建設の村田誉之社長は6月末の会見で「何としてもやっていきたい」と覚悟をにじませたが、スタンド部分だけを先行して仕上げられるわけではない。

 建設は五つの工期に分かれる。…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら