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 努力した人が報われる。裏を返せば、努力しないと高くつく。そんなごみ出しの仕組みがあると聞いて、長崎県佐世保市を訪ねました。

 この日の最高気温は35・2度。午後2時過ぎ、資源ごみの回収車がきました。車の入らない坂道は市の職員が人力でごみを運びます。「きれいに出してくれるから助かる。こんな暑い日は特にね」。職員はごみをそりに載せ、急な坂道を下って行きました。

 同市は有料のごみ袋を導入しています。値段が変わるところが、普通と違います。一定の枚数のごみ袋は、市から配られる補助券を使って安く買えます。補助券を使い果たすと高額になります。ごみ袋の数を抑えることでごみも減らそうという、独特の仕組みです。

 この有料ごみ袋制度が導入されたのは2005年でした。職員は1年近くかけて、600ほどある町内会を回って市民説明会を開きました。切り替わった当初は、2千カ所以上ある集積所に職員が立って、なじめない住民に直接指導したそうです。

 ごみは今、ピーク時の4割まで減りました。

 佐世保市は自衛隊を始め、転勤族が多い街です。不動産会社を営む千北友子さん(54)は引っ越してきた人が戸惑うことがないよう、物件を紹介する際、地区のごみ集積所の場所も地図付きで示すといいます。自治体任せにせず、ごみについて分かる人がしっかり説明しているのが印象的でした。

 イオン大塔店では、通常の半透明のポリ袋と一緒に、市の指定ごみ袋が陳列されていました。一番売れ行きが良いという(中)サイズは30リットルの6枚で888円。補助券があればそれが48円で買えます。

 レシートにはまずは定価が印字されます。補助券利用分として、ごみ処理手数料840円が引かれたのを見て、三浦峰子さん(33)は「お得感がある。『定価』ではやっぱり買えないなと思う瞬間」と言います。

 店頭に置いてあった生活情報紙を手に取りました。「ライフ佐世保」とあります。目にとまったのは読者の情報掲示板です。「学習机、取りに来て下さる方に無料で差し上げます」「古民家風に合うタンス、2千円で譲ります」。編集長の末永修一さん(54)に尋ねると創刊37年、このコーナーは続いているそうです。いらなくなれば「ごみ」でも、譲り受けてくれる誰かがいれば立派な「物」。物を大切にする佐世保市民の心に触れた気がしました。

 ところで、年間どれくらいのごみ袋の補助券が出るのか。補助券がなくなるともう、30リットルの袋6枚を888円も出して買わなければならないのか。そのあたりは、19日のフォーラム面で詳しく紹介します。(川口敦子)

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