[PR]

 巨額の総工費に世論の批判が高まっていた新国立競技場の建設問題をめぐり、計画見直しに慎重だった安倍政権が17日、一転して現行計画の白紙撤回を宣言した。政権は安倍晋三首相による周到な「政治決断」を強調するが、世論に押された泥縄的な対応は否めない。「国民の祭典」に向けた主会場の設定は一気に振り出しに戻り、先行きはなお見えないままだ。

 「ゼロベースで計画を見直す決断をした」

 17日午後、首相官邸。安倍首相は1時間半に及んだ東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相や関係閣僚との会談を終えると、待ち構える報道陣の前に姿を現して宣言した。「国民やアスリートの声に耳を傾け、1カ月ほど前から見直しの検討を進めてきた」と続けた。

 首相周辺は「1カ月ほど前に首相が下村博文文部科学相に指示していたが、現行案を撤回しても五輪に間に合うと分かったのが16日だった」と解説する。

 しかし、実際には政権の危機感は薄く、現行の建設計画が着々と進んでいた。6月29日には、下村氏が現行計画を維持する方針を表明。7月7日には、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議が計画を認め、9日にJSCは一部の工事をゼネコンと契約した。首相も10日の衆院特別委員会で、「新しいデザインを決め、基本設計をつくっていくと時間が間に合わない」と見直しを否定していた。

 ところが、11、12日の週末に集中した報道各社の世論調査で現行案への反対が7~8割に及び、「改めて急いで見直しを検討しろと文科省に指示した」(首相周辺)。「憲法違反」と指摘される安全保障関連法案について、与党は15日に衆院特別委で採決を強行し、16日には衆院を通過させた。同時期に新たな火種を抱え、「さすがにこのままでいいわけがない」(官邸幹部)。内閣支持率に響くことを懸念して急きょ、白紙撤回にかじを切った。

 対応が遅れた理由の一つに、首相の出身派閥の先輩でスポーツ界への影響が大きい森元首相の存在もあった。計画の抜本見直しには工期の延長が避けられず、森氏がこだわっていた2019年のラグビーワールドカップの開催には間に合わなくなるためだ。

 「僕はもともと、あのスタジア…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

こんなニュースも