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 若者が被爆地とつながろうとしている。インターネットで平和記念式典の中継を企画したり、語り部から聞いた被爆体験をもとに東京で劇を演じたり……。まもなく原爆投下から70年。風化が懸念されるなか、記憶を受け継ぐ営みは着実に広がっている。

祖母訪ね、仲間と活動

 「私たちの感性で『継いでいく』っていう内容にしたいんだ」。久保田涼子さん(32)は今月中旬、広島市で暮らす祖母(88)のもとを訪ね、思いを伝えた。久保田さんの仕事は「ウェブクリエーター」。東京で企業などのホームページのデザインをしている。なぜ祖母宅に来たのか――。

 久保田さんは高校卒業まで広島で育ち、「原爆」や「平和」のことを身近に感じていた。でも、東京は違った。広島と長崎に原爆が投下された8月6日と9日は、東京の子どもたちにとって夏休みの1日に過ぎないように思えた。

 東京での暮らしが長くなるにつれ、久保田さん自身も「原爆」から遠のいた。転機は昨年。友人を通じ、原爆投下後の広島を舞台にした朗読劇「父と暮(くら)せば」で、「広島弁の指導をしてほしい」と頼まれた。広島とゆかりのない俳優が広島に行き、役づくりをする姿に触れた。「広島で生まれた私にも、できることがあるはず」。そう感じた。

 歌手、俳優、ダンサー……。東京の仲間たちに気持ちを明かすと、30人ほどが賛同してくれた。今春には仲間と広島を訪ね、1週間ほどかけて祖母ら被爆者の話を聞いた。川に多くの遺体が浮かんでいたこと。街中に人が焼ける臭いが漂っていたこと。証言を通じて70年前の惨状に接し、伝えていかなければという思いが強まった。

 一方で仲間からは「主張ばかりしても伝わらないのでは」との声も。東京で7月30日~8月6日に「第三世代が考えるヒロシマ『  』継ぐ展」を開くことを決めたが、訪れた人に自分なりに疑問を見つけて考えてもらおうと、あえてタイトルは空白にした。

 会場は中野区東中野4丁目にあるカフェ「ポレポレ坐(ざ)」(03・3227・1445)。原爆に関するパネルを展示し、原爆の日の6日に広島で流す灯籠(とうろう)を作るワークショップも催す。タブレット端末で灯籠流しを疑似体験できるようにもするほか、6日当日は平和記念式典の様子をネット中継して黙禱(もくとう)する。

 こうした取り組みを久保田さんから伝えられた祖母は「世代が違えば、考えることも違うねえ」と言い、やさしく笑った。久保田さんは「祖母から聞いた『広島が復興したように何かを生み出す人になりなさい』という言葉を胸に、みんなが『おじいちゃんやおばあちゃんから話を聞こう』と思うきっかけを作っていきたい」と力を込めた。

■「原爆乙女」演じ…

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