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 英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)グループ買収を発表した日本経済新聞社は24日、記者会見した。買収でデジタルや海外での発信を強化する、という。縮む国内市場に危機感を募らせて投じるのは約1600億円。世界的な再編の潮流に沿った動きだが、リスクも大きそうだ。

 「成長には、デジタルとグローバルを中心にしなければいけない。FTは最も良いパートナーだ」。日経の喜多恒雄会長は記者会見で、そう述べた。世界のビジネス界に強い影響力を持つ経済紙買収にかける思いを強調し、「25年間毎朝、FTの記事を眺めてきた」とも語った。

 デジタルとグローバル――。会見で何度も繰り返された言葉が、今回の買収のポイントだ。

 FTはデジタルで最も成功しているメディアの一つとされる。購読者の7割、50万人が電子版の有料会員だ。日経も国内の新聞社で最も多い43万人の有料会員を持つが、「顧客管理や販売促進などでFTは優れており、電子版を拡販するうえで参考になる」(岡田直敏社長)と言う。

 日本企業のアジア進出が加速するなかで、日経はアジアの経済ニュースを載せた英字媒体を2年前に始めた。岡田社長は「ブランド力も人材もあるFTと組むことで大きく育てられる」と話す。

 日経は、国内最大の経済紙だ。ただサラリーマンが主な読者層のため、高齢化に伴う定年退職ラッシュの影響をもろに受ける。部数の減り方は国内の新聞市場全体よりは緩いが、それでもここ10年で、朝刊は9%減の273万部になった。

 苦境を打破するため、3年前からひそかに英字新聞の買収を検討してきた。

 ただ、身売りが取りざたされてきたFTの買い手として、日経が最有力候補だったわけではなかった。

 日経が打診を受けて買収交渉を始めたのは、5週間前。FT自身の報道によると、独大手メディア「アクセル・シュプリンガー」は、これに先立つ1年前から交渉し、有利とみられていた。買い手には米ブルームバーグやトムソン・ロイターも取りざたされた。

 状況が変わったのは、まさに買収発表当日の23日だ。日経は、約1600億円を現金で支払うと突然提案した。シュプリンガーを上回る内容だったとみられ、FTは関係者の話として「最後の10分で逆転した」と報じた。3年前からの念願を急転直下の決断で果たした。

 買収の手続きは年内にも終わる見通しという。買収の費用は手元資金と借り入れでまかなう。ただ、1600億円という買収額は、FTグループの年間の営業利益の35倍にも達する巨額だ。

 「ほかの欧州系メディアは営業利益の10~15倍で売買されている。今回は目の飛び出るような高額」(ロイター)などと高値づかみの可能性が指摘されている。日経自身の営業利益と比べても10倍近い金額だ。

 日経の岡田社長はこうした声も意識し、「相乗効果も含めて、新しい成長機会をつかめる成算を持っている」と強調した。(北川慧一、高木真也)

■編集方針変質に…

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