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 心を病んだ天才女子高生が兵士らを刺し殺し撃ち殺す血まみれバイオレンス学園アクション、といういかにもありがちな題材なのに、アタマからシッポまで押井さんらしさが詰まった映画。それが25日から公開中の押井守監督による実写作品「東京無国籍少女」です。以後、物語の細部に触れている部分がありますのでお気をつけ下さい(オチはばらしてません。とても「押井さんらしい」オチですけど)。

 押井さんらしさは、まずアクションがなかなか始まらないこと。トイレで絡んできたいじめっ子3人(押井さんいわく「イジメ3悪」)をモップの柄で撃退したり、ネチネチした男性教師の首にパレットナイフを押し当てたりするくらい。アクションはまだかという観客の期待をよそに、主人公・藍は暗い顔をして誰とも口をきかず、昼はデッサン、夜は巨大なオブジェ制作に打ち込むばかりです。「前半を耐えることができれば面白い映画のはず。たとえ前半で落ちて(←寝て)しまっても構わない。夢の中で時間が流れてるような映画だから」と、初日舞台あいさつで押井さんが言った通り。ゆったりとしたモーツァルトの美しい調べが流れ続け、観客を眠りへ誘います。寝落ちトラップもまた、押井さん(の特に実写映画)らしさの一つ。

 事故による心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ藍は、学校(女子美術高等専門学校という設定)に泊まり込んで制作に打ち込み、校長らは天才の復活を期待して見守り、同級生らはこの元・特待生に冷ややかな視線を注ぐ――という一見少女マンガっぽいこの学園の日常ですが、そのまどろみを破るような「非日常」がちりばめられ、不穏な空気を醸し出します。連日続く地震、大量の鳥たちの羽音、ヘリの爆音……。モップやナイフを扱う藍の、戦い慣れしたような動きも不可思議。そう、この世界は「何かがおかしい」。そう気づくはずです、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の温泉マークのように。この「世界」の真の姿とは何か? これまた押井さんらしいところ。

 そして個人的にツボだったのは…

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