拡大する写真・図版 広島市下柳町(現・中区銀山町)にあった旧広島東署の屋上から撮影された焦土と化した広島市内=1945年8月10日(11枚の写真を360度のパノラマに合成した一部)

[PR]

 広島に原爆が投下されてから4日後の1945年8月10日、朝日新聞大阪写真部の宮武甫(はじめ)カメラマン(故人)が被爆地の惨状を撮影していた。そのネガフィルムを朝日新聞は高画質スキャナーで読み取り、汚れや傷の部分をデジタル処理で修復。計11枚の画像をつなぎ合わせ、360度のパノラマ写真にした。

 宮武氏は8月9日に広島市に入り、翌10日に下柳町(現・中区銀山町)の旧広島東署(3階建て)の屋上から撮影した。朝日新聞は10年前の2005年、ネガをもとにパノラマ写真を作成し、180度分を紙面に掲載。360度分は複数の施設で展示された。

 今回の高画質化は被爆70年に合わせた取り組みで、焦土と化した広島の街をより鮮明に再現した。被爆から1カ月あまり後の「枕崎台風」で地表が洗い流されたこともあり、広島平和記念資料館の落葉裕信・学芸員は「(この写真がとらえた様子は)被爆者が見た街全体の惨状に最も近いだろう」と指摘。被爆者の証言などと照合すれば、「被爆の実態がより詳しく分かるようになるのではないか」と話す。

 修復した写真データは18年春のリニューアルオープンをめざす資料館に提供する。(岡本玄)