[PR]

工藤有生(くどう・なおき)=2年

 広島・世羅高時代は控え選手。「4年間のうち1回、箱根駅伝に出られればいいなあ」。そんな思いで駒大にやってきた。

 大八木監督の第一印象も最悪だった。「やせているだけで、体のバランスが悪い。なんでこんなにふにゃふにゃ走るんだろう」

 覆したのは、昨夏の3週間にわたる合宿だった。1日50キロの走り込みなど主力でも根を上げる練習メニューを細い体ですべてこなした。「これは面白いと思った」と監督。上級生に食らいついて走り込んだおかげで体幹も鍛えられ、上半身がぶれなくなった。

 手応えは自身の中にも生まれていた。「練習が全然きつくなくて。別人みたいでびっくりした」。昨年の全日本大学駅伝で5区2位、今年の箱根駅伝では4区2位。ともに駒大の1年生ではただ一人の出場。入学当初に掲げた目標をクリアしてしまった。3月の日本学生ハーフで2位に入り、今夏のユニバーシアード日本代表にも選ばれた。「今、走るのがすごく楽しいです」と無邪気に笑う。

 想定外のスピードで成長を続けるがゆえ、勝負師としては未熟な一面も。周りの選手の調子やレース展開を見極めず、つい前に出てしまう。体力を無駄に消耗し、終盤に粘れない。「感覚でいくな」と監督から何度注意されたかわからない。「でも、先頭を走ると気持ちいいんです」と照れながら言う。

 最近ようやく置かれている立場がわかり、考え方を改めた。「わがままに走ってきたけど、上位でレースをすることが多くなったので、勝ちにいくことを覚えないと」

 周囲からは「天然」と言われ、チョコレートが大好きな19歳。箱根で総合優勝した青学大の選手のもとに、バレンタインデーのチョコが大量に届いたと知って嫉妬した。「僕も箱根を走ったのに」

 5連覇がかかる全日本。「狙いたいですね。個人的には1秒でも速く次の走者にたすきを渡して、いい流れを作りたい」。偉業に貢献すれば、今度こそチョコが届くかもしれない。(金島淑華)

こんなニュースも