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 維新の党を離党した橋下徹大阪市長が、松井一郎大阪府知事とともに、10月に新たな国政政党を設立するという。大阪に地盤を置く国会議員12人が合流の意向を示し、維新の党の分裂は決定的になった。

 「結いの党」との合併で維新の党が誕生してから1年足らず。しかも「党を割らない」と橋下氏が明言した翌日、手のひらを返しての新党結成宣言だ。

 維新は51人の国会議員がいる野党第2党だ。橋下氏の言動はかつて党を率いた立場としてあまりに軽く、身勝手に映る。

 5月の住民投票で大阪都構想が廃案になった際、橋下氏は「負けた。終わった」と語り、12月の政界引退を表明した。あの会見からまだ3カ月余り。橋下氏は引退の意向は変えないとしているが、周辺では国政転出の可能性が公然と取りざたされる。一連の行動は引退などどこ吹く風といった様相だ。

 分裂騒動の発端は、柿沢未途幹事長が山形市長選で野党系候補を応援したことだ。安倍政権に親近感を抱く大阪側には、労働組合との関係が深い民主党との再編に前向きな松野頼久代表への不満も根強かった。

 ただ、元民主党の松野氏を受け入れたのも、石原慎太郎氏らの保守系グループとたもとを分かち、リベラル色が強い「結い」と組んだのも、当時、維新のトップにいた橋下氏と、幹事長を務めていた松井氏だ。

 党運営が思うようにならないと、すぐ分裂に走る姿勢は理解しがたい。

 参院審議が大詰めの安保関連法案をめぐり、維新は対案を出している。重要な時期に、党内の混乱を収められなかった松野代表の責任も大きい。

 維新の党は年間約26億円の政党交付金を受ける。原資は税金だ。手前勝手な分裂は、維新に期待して一票を投じた有権者の信頼も損ねよう。

 大阪維新は秋の大阪府知事・大阪市長ダブル選で、大阪都構想を再び公約に掲げるという。

 大阪の課題を解決し、大阪と東京の二極体制をつくりたい、と橋下氏は言う。その思いが本当なら、なぜ住民投票の後、反対派と真摯(しんし)に話し合おうとしなかったのか。空前の激戦だった住民投票後、大阪に必要なのは融和だったはずだ。

 対立の構図を引きずり、最後は選挙でけりをつけようとする。橋下流の政治手法は熱烈な支持を得る一方、強い反対論も生み、住民投票では深刻な相互不信をもたらした。このやり方がいつまでも有権者に支持されるか。考えた方がいい。

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