市川崑監督の映画「犬神家の一族」の警察官役など個性的な脇役として映画や舞台に出演、文学座の劇団代表を務める俳優の加藤武(かとう・たけし)さんが7月31日死去した。86歳だった。葬儀は親族のみで営む。後日、お別れの会を開く予定。連絡先は文学座(03・3351・7265)。

 東京都出身。早稲田大学時代に演劇活動を始めた。卒業後、中学の英語教師になったが、52年に文学座研究所に入り、59年に座員に。「美しきものの伝説」「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」「ふるあめりかに袖はぬらさじ」「殿様と私」などに出演したほか、演出も手がけた。2014年の文学座公演「夏の盛りの蟬(せみ)のように」の葛飾北斎役で、紀伊国屋演劇賞個人賞を受けた。

 映画では黒沢明、今村昌平、深作欣二各監督らの作品に起用され、屈指の脇役と目された。70年代以降、「犬神家の一族」をはじめ「獄門島」「女王蜂」など一連の市川監督による横溝正史原作の映画で、「よーし、わかった!」と犯人を早合点する「等々力警部」などの警察官が当たり役となった。

 一方、永六輔さん、故小沢昭一さんらとともに作った「東京やなぎ句会」などを通じ、俳句歴は45年に及んだ。

 文学座によると、7月19日、東京都内であった語りの舞台が最後となった。加藤さんは7月31日夕、スポーツジムのサウナで倒れ、その後、病院で死亡が確認されたという。