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 九州電力の川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市、89万キロワット)が、11日に再稼働する。新規制基準下で初の再稼働で、約2年ぶりに「原発ゼロ」が終わる。安倍政権は再稼働に向けた環境づくりを進めてきたが、川内など個々の原発の再稼働判断については「責任は事業者」(菅義偉官房長官)として距離を置く姿勢をみせている。

 九電は11日午前10時半に原子炉を起動し、半日後の午後11時ごろ、核分裂反応が連続的に起こる「臨界」となる見通し。14日に発電と送電を始めて、9月上旬に営業運転に移る。

 東日本大震災で東京電力福島第一原発が事故を起こし、その後国内の全原発は停止。電力不足で関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が12年7月に一時的に再稼働したが、13年9月に停止し、その後は「原発ゼロ」が続いた。

 福島第一原発事故を受けて、地震や津波の想定を厳しくした新規制基準ができ、川内原発は、新基準で初の再稼働となる。このため、九電は原子力規制委員会への対応に手間取るなどして手続きは遅れたが、審査を申請してから2年以上をへて再稼働する。

 九電は川内2号機も10月中旬の再稼働をめざしている。他の電力会社では、関電高浜原発3、4号機(福井県)と、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)も新基準を満たすと認められ、再稼働への手続きが進む。ただ、高浜原発については、福井地裁が4月、再稼働を禁じる仮処分を出し、再稼働できるかは不透明だ。

 安倍晋三首相は10日の参院予算委員会で再稼働を進める責任を問われ、「安全神話に陥ることなく、事業者と規制当局が安全性を不断に追求していくことが大事だ」と電力会社や原子力規制委員会の責任を強調した。そのうえで「世界最高水準の新基準で認められた原発から再稼働していく」と述べた。

 今年7月に決めた2030年度の電源構成で、原発の割合を約2割とするなど、政権は再稼働の「地ならし」を着々と進めてきた。だが、再稼働への世論の反発は根強い。安全保障関連法案の審議などで支持率が低迷する政権にとって、再稼働問題で「国が前面に立つ」ことをかわしたいのが本音だ。菅長官も10日の記者会見で「稼働するかどうかは事業者の判断」などと繰り返した。

 一方、原発や福岡市の九電本店の周辺では、脱原発を訴える市民らが反対の声を上げた。(長崎潤一郎、星野典久)

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川内原発1号機の再稼働を巡る動き

11年5月 定期検査で停止

13年7月 新規制基準が施行。九州電力が再稼働のための審査を申請

14年9月 原子力規制委員会が、新規制基準を満たすとした「審査書」を決定

15年3月 規制委が使用前検査を開始

  7月上旬 核燃料を搬入

  7月下旬 重大事故を想定した訓練を実施

  8月11日 原子炉を起動して再稼働

    14日 発電・送電を開始

  9月上旬 営業運転に移行