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 列車以外の方法でたどり着くのが難しく、鉄道ファンの間で「秘境駅」として有名な北海道豊浦(とようら)町のJR室蘭線小幌(こぼろ)駅が大にぎわいだ。JR北海道が10月末にも駅を廃止すると町側に伝えたためで、普段静かな山あいの駅にお盆休みの観光客の歓声が上がっている。

 駅のホームは、海辺から切り立った断崖を貫く二つのトンネルに挟まれた長さ約80メートルの区間にあり、車で行けない。1943年に列車の待ち合わせやすれ違いに使う「信号場」として開業。町によると、70年代半ばごろまでに海辺の集落が消滅し、1日上下8本の普通列車がとまるが、利用者はほとんどいない。

 埼玉県狭山市の派遣会社員藤田厚子さん(48)は町出身の夫(50)、大学生の次男(18)の家族3人で訪れた。「廃止前に絶対行かなきゃ、と思って。車では近づけず、海岸まで獣道のような道しかない。さすがに秘境駅だと実感しました」。ホームに置かれた「思い出ノート」は5冊目。「来てよかった」「廃止は寂しいけれど、しょうがないのかな」。全国のファンが惜しむ思いをつづっている。(日比野容子)