天皇陛下は即位後、毎年欠かさずに全国戦没者追悼式に出席して「おことば」を述べてきた。例年大きな変化はなかったが、今年は「さきの大戦に対する深い反省」を始め、新しい表現が盛り込まれた。

 「戦争による荒廃からの復興」

 「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」

 「戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき」

 いずれも同式典では初めての言及で、宮内庁関係者によると、ご自身によって直前まで練り上げられた。

 戦後70年にあたり、天皇陛下は皇后さまと戦没者慰霊を続けてきた。昨年は沖縄、長崎、広島を訪れ、今年4月には太平洋戦争の激戦地・パラオに渡った。「戦争が次第に忘れられていくという、陛下には焦りにも近い気持ちがあるのでは」。そんな思いが今回のおことばに表れたのだろう、と側近はみる。

 天皇陛下は、皇太子時代から会見や式典で平和への思いを語ってきた。天皇陛下の学友は「昔からぶれることなく、率直な思いをおことばにしてきた」と言う。戦後70年の節目にあたり、一貫した陛下の言動は存在感を増している。(島康彦