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 こんばんは、東山です。

 先月の受賞決定から1カ月ほど経ちましたけれども、僕の作家人生において、空前の忙しさ、そして充実ぶりでした。そのなかでも、お礼を申し上げるべき筋にはきちんとお礼を申し上げてきたつもりなんですが、なかなか普段はお礼を言えない方々もおりまして、この場を借りて一言お礼を申し上げたいと思います。

 今まで僕の本を出してくれた編集者の皆さん、そして僕の本を出したいと言ってくれている編集者の皆さん、本当にありがとうございます。僕はデビューして12年になるんですけれども、これまで商業的にはあまりぱっとしない、売れない作家でありました。

 そんな僕の本を、根気よく出し続けてくれた編集者の方たちがいなければ、今日の僕はここに立っていないと思います。僕はリレーのように彼らに受け継がれて、ここに立っていると思います。もし今日までのあいだに、誰かが僕を見限っていたら、この場にはやはり立てていなかったと思うので、本当に心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。(会場から拍手)

 受賞して、いろいろインタビューをうけて、「直木賞はあなたにとって何なのか」というのをよく尋ねられますけれども、最近思うのは、この賞は僕の平坦(へいたん)な作家人生に生じた不整脈のようなものだと思っています。それはそれはステキな不整脈なんですけれども、やがてゆっくり落ち着いていかなければ、作家としてのキャリアが終わってしまうものだと思います。

 なので、今日をひとつのピークとして、これから先は心を落ち着けて、またコツコツと自分の作品の世界に戻っていきたいと思っています。そうはいっても、今日がひとつのピークであることには変わりないので、大いに飲んで、騒ぎたいと思います。

 今後ともよろしくお願いします。