[PR]

 命を絶つ子もいます。どうすればいいのでしょうか。いじめはなくせますか? 朝日新聞デジタルのアンケートに多くの回答が寄せられています。まずは、いじめについてのTV番組でMCを務めるAKB48の高橋みなみさん(24)と一緒に考えました。

高橋みなみさんに聞く

 小学校低学年の時、体が弱かったこともあり、いじめられました。「お前バカなんじゃねー」とか、ずっと言われて。給食を吐いてしまい、変なあだ名をつけられたこともある。すごく嫌だったけど、自分ではどうにもできなかった。親は先生に言ってくれたけど、それでいじめをやめるような子たちでもなかった。解決したのは、私をいじめる「ブーム」が去ったからです。

 中学生の時には、AKB48のオーディションに受かったことを親友に言い出せず、半年ぐらい無視されました。「なんで言わなかったのか」と、悲しかったんでしょうね。

 きれいごとは言いたくない。いじめは、なくせないと思います。子どもが一つのクラスで生活する上で、誤解を招いたりとかいろんなことがある。大人の世界でも、人と人とがうまくいかないことがある。人が人である以上、いじめは起きると思います。

 でも、なくせないと分かっているからこそ、逆にできることがある。いまこの瞬間にも、誰かがいじめられている。いじめが大きなニュースになったから、誰かが死んだからではなく、「いじめはなぜ起きるのか」という疑問を、ずっと持ち続けることはとても大事。子どもたち主導か、大人が手を貸すのか、いろんな形が考えられるだろうけど、「もし、いじめが起きたらどうしたらいいのか」を、学校生活の中で学ぶことが大事だと思います。それをみんなと一緒に考えていきたいと思って、番組をやっています。

 番組を見て、実際に話し合った学校がありました。そうすれば、いじめが起きたときに、「ああいう風に勉強したから、先生に言ってみようかな」と思うかもしれない。いじめは、みんなが経験する可能性がある。みんなが、加害者にも被害者にも傍観者にもなり得てしまうんです。

 アンケートで「いじめはなくせない」を選んだ小学生の女の子が、「先生や親が気付かないから」と書いています。小学生にとって、先生の与える影響はすごく大きい。いじめに関わるのは、すごくパワーがいることだけど、先生たちには、あきらめないで取り組んでほしい。先生や親のせいだけではなくて、誰かが声をあげないと気付けないことがあることも、子どもたちに分かってほしい。

 中学生の女の子は「いじめが増えた一番大きな原因はLINEなどの普及でだれでも気軽に悪口の発信ができるようになってしまったこと」と答えています。LINEやSNSには遠くの友達とつながるとか、素晴らしい使い方もある。一方で、同じグループにいる人を「強制退会」させたりとか、変な使い方もしちゃうんですよね。

 やっぱり、大切なことはきちんと会って話したり、電話したりすべきだなって思います。文字だけだと、「笑」とつけなかっただけでとげとげしく伝わってしまったりして、結構こじれちゃう。携帯電話なしでは生きていけない世代の子どもたちには、友達と会っているなら友達の目を見ること、リアルな世界をきちんと見ることが大事なんだよ、と言ってあげたい。

 いじめをしている子どもたちへ。学生の時は、ちょっとやんちゃで威張り散らしている子が格好いいような風潮があるけど、全然、格好よくないよ。中学生の時、いじめていた子がいじめられたことがあった。いつか自分に返ってくるし、大人になって絶対に後悔する。いじめは、とても悲しいことしか生まないので、自分をもう一度見つめ直して。

 いじめを傍観している子どもたちへ。助けてあげたいけど、自分が標的になってしまわないかと怖いよね。ただ、クラスでは傍観者の方が多い。「あの子、大丈夫ですか」と先生に伝えたり、無視されている子に「おはよう」と言ってあげたり。一つひとつの「小さな勇気」が、いじめられている子からしたら、すごい希望だよ。傍観者には、すごいパワーがあることを覚えておいて。

 いじめられている子どもたちへ。今の環境を「どうにかしなきゃ」って動ける子もいるけど、そうでない子が大多数だよね。どうしても、30~40人の世界しか見えなくなってしまうけど、今のクラスで生き延びなければいけないわけではない。外はもっと広いし、別の学校に行ったら別の友達はたくさんいる。向き合う勇気もすごく大事だけど、逃げることは別に悪いことじゃないことも知ってほしい。(聞き手・伊東和貴)

     ◇

 1991年、東京生まれ。人気アイドルグループ「AKB48」の1期生で総監督。今年でグループを卒業する。NHKの教育番組「いじめをノックアウト」でMCを務める。

     ◇

 〈法律による「いじめ」の定義〉 大津市で起きた中学2年男子生徒の自殺などを受けて2013年に成立した「いじめ防止対策推進法」によると、「一定の人的関係にある子による心理的・物理的な影響を与える行為で、対象の子が心身の苦痛を感じているもの」をいう。「インターネットを通じて行われるもの」も含む。07年度の小学4年が中学を卒業するまでのいじめ体験を国立教育政策研究所が追跡調査したところ、6年間で約9割が「仲間はずれ・無視・陰口」を、6割以上が「ひどくぶつかる・叩(たた)く・蹴る」の被害経験をしていた。

いじめの電話相談窓口(全国共通)

●24時間子供SOSダイヤル

0570・0・78310(通話料が必要、保護者も可)

●子どもの人権110番

0120・007・110(平日午前8時半~午後5時15分、通話無料、大人も可)

●チャイルドライン

0120・99・7777(月~土曜の午後4~9時、通話無料、18歳まで)

アンケートの回答は

 アンケートの回答の中で、いま学校に通っている小中高校生、大学生など「その他学生」に「なくせない」が目立ちます。小中高生は「あまりなくせない」と合わせ9割近くになります。

●男子中学生「どんなに、いじめがないって言われてる学校だっていじめはある。現に自分がそうだったから。今は自分には友達もいていじめもされなくなったけど、自分がいる学校でいまだに陰でいじめられている人はいる」

 なくならない背景に、多くの若者は社会の縮図をみるようです。

●女子高校生「人間が集団で生活する限り、なくならないと思います」

●その他学生の男性「世の中が競争社会である以上、なくならないのではないか?」

●男子小学生「いじめる人がグループを作ったり、優位な立場だったりすると、見下したい気持ちが湧いて来るので、いじめが多くなって、それを見ている人も、注意したらターゲットが自分になる恐怖感で、いじめが続くんだと思ってます」

●女子高校生「学校社会ではみんな居場所を必死に探しています。そのため時に、ひとの居場所に嫉妬したりその子の居場所を奪ったりすることがあります」

 その他学生の女性は、中学時代を振り返り次のように記しました。

●「皆とにかく自分の所属する『グループ』が欲しかったのでしょう。それが独立したものだと確かめるために、何か理由をつけて他者をのけ者にするのです。暴力、無視、悪口いずれも皆ですることでさらに仲間意識は強くなります」

 こうした仲間意識にはウソがあるという意見もありました。

●女子中学生「自分がいじめられたくないからやる、一部の子をいじめることで自分たちの友情(偽物の友情)を深めることができるから。私は今、クラスの人にいじめを受けています。だから分かるんです」

 ささいなことが理由になるとみんな感じています。

●女子中学生「いい意味でも悪い意味でも、多数の人が当てはまる“普通”じゃないとその違いを認められず、“おかしい”と思い、いじめをする人がいると思う」

 いまは、それがソーシャルメディアで増幅される恐れがあります。

●女子中学生「いじめが増えた一番大きな原因はLINEなどの普及でだれでも気軽に悪口の発信ができるようになってしまったこと。いまではどんな子でもいじめのターゲットになってしまう。悪口の共有や、良くないうわさを拡散することが簡単になったから。何げないひとことでもすぐに広まるし、広まるうちに話が盛られていく。私はそんなこととかがあって部活をやめたし、クラスに居づらい。友達もそんな感じで傷ついて体調崩したりした」

 「見て見ぬふり」を、なくならない理由に挙げる意見もありました。

●男子高校生「仲介役の大人(先生、両親)があてにならない」

 その他学生の男性は中学時代にひどいいじめを受けていたそうです。

●「先生には罵倒され話も聞いてもらえませんでした。教師がいじめをなくすつもりがなければ生徒は自分の胸に抱えて誰にも話せません。親には心配をかけまいとして言えるわけもありません。いじめ問題が100件あったとしたらいきなり0にすることは不可能です。まずは99にすることが大事なんだと思います」

 どうすればいいのか。次回、引き続き若者の声を紹介します。

     ◇

 アンケート「いじめはなくせる?」を朝日新聞デジタルのフォーラムページ(http://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きます)で実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするへ。